2004 Fiscal Year Annual Research Report
手術支援ロボットを用いた内視鏡下手術における力覚技術の開発
Project/Area Number |
16790759
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小熊 潤也 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50338852)
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Keywords | ロボット手術 / 力覚付加鉗子 / 創傷治癒 / 血管新生 |
Research Abstract |
教室では,力覚のフィードバック機構を有したロボット手術用鉗子の開発に成功した.これを臨床応用するためには,組織の創傷治癒と縫合糸の至適結紮力に関する客観的なデータが必要となる.一方,消化管の創傷治癒は血管新生や増殖因子と密接な関係があるといわれている.本研究の目的は,動物モデルを用いて糸の結紮力と組織の創傷治癒との関係を検討することで至適結紮力を推定することである.まず,ドップラー血流計を用いてビーグル犬の胃および空腸の結紮時における結紮力と局所血流との関係を計測した.次に,切開再縫合を行い,段階的に結紮力を設定し,それぞれ結紮した.その後閉腹し,第4,7,11,14病日に再開腹して各臓器を摘出した.摘出臓器の各結紮部分で免疫染色を行い,結紮力と微小血管密度および増殖因子(bFGF)発現の経時的変化との関係を評価し,各臓器に対する至適結紮力を推定した.なお,組織の創傷治癒は組織学的所見における血管新生および増殖因子の発現により評価した.結紮力と局所血流との関係については,胃、空腸とも1.5〜2.0Nまでは結紮力と負の相関を示すが、2.0N以上の結紮力では血流は不変で低値を示した.胃では第7病日,空腸では第7,11病日における結紮力1.5Nでの切開再縫合部の粘膜下層の微小血管密度が他の結紮力に比べ高かった.bFGFの発現については,胃では第4,7病日,空腸では第11病日において,結紮力1.5Nでの切開再縫合部の粘膜固有層のbFGF陽性細胞密度が他の結紮力に比べ高かった.本研究で,結紮時の局所血流測定の結果から、2.0N以上の結紮力で消化管の血流障害が起こることが示唆された.血管新生および増殖因子発現が亢進していることから,犬の胃および空腸いずれも1.5Nが創傷治癒における最も至適な結紮力であると推定できた.本結果は,力覚付加ロボット鉗子の開発上で有意義であると考える.
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Research Products
(2 results)