2004 Fiscal Year Annual Research Report
EGF結合パクリタキセル封入ナノ粒子による抗腫瘍効果の増強
Project/Area Number |
16790760
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
嶋田 俊之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80342658)
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Keywords | EGF / MPCポリマー / Paclitaxel / ターゲッティング療法 |
Research Abstract |
乳癌細胞株(BT-20)、扁平上皮癌細胞株(A431)、肺小細胞癌株(H69)に対するEGF結合Paclitaxel封入MPCポリマーの殺細胞効果をMTTassayを用いてEGF非結合のMPCポリマーと比較検討した。<結果>Paclitaxel濃度を0.1nM、接触時間を48時間とした場合、EGFR過剰発現扁平上皮癌細胞株であるA431に対するinhibition rateは、EGF結合Paclitaxel封入MPCポリマー群で84.1%、EGF非結合Paclitaxel封入MPCポリマー群で30.2%であり、EGFを結合させた群で有意に殺細胞効果が高かった(p<0.05)。またEGFR過剰発現乳癌細胞株であるBT-20においても、EGF結合Paclitaxel封入MPCポリマー群と非結合群でのinhibition rateはそれぞれ51.1%、40.1%でEGF結合群において有意に高かった(p<0.05)。一方、EGFR低発現細胞株であるH69においては両群間で殺細胞効果に有意な差は認めなかった。A431は、EGFの存在下で殺細胞効果を認めたため、EGF結合Paclitaxel封入MPCポリマーの殺細胞効果が、EGFによる効果と、Paclitaxelによる効果の相加効果にすぎないのか、それとも相乗効果であるかの判定を行った。結果は相乗効果によるものと判明した。以上のことよりEGFR過剰発現株において、EGF結合Paclitaxel封入MPCポリマーによる殺細胞効果の増加を認めたことになる。 動物実験においては、(1)Paclitaxel封入MPCポリマー(2)EGF結合Paclitaxel封入MPCポりマー、コントロール群として(3)生食、(4)臨床で用いられている従来のPaclitaxelの4つの群に分け、抗腫瘍効果の違いを検討中であるが、現在のところ(1)群と(2)群の間に有意な差を認めていない。
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