2004 Fiscal Year Annual Research Report
線維芽細胞増殖因子受容体KGFRのmRNAレベルでの阻害による大腸癌分子標的治療
Project/Area Number |
16790765
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
吉野 雅則 日本医科大学, 医学部, 助手 (10343609)
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Keywords | 大腸癌 / KGFR / Western Blot / RT-PCR / 免疫組織化学染色 / Ki-67 / Cytokeratin 20 |
Research Abstract |
Reverse Transcription PCR (RT-PCR)法、Western blot法を用いた検索では、5種類の培養大腸癌細胞(HCT-15、WiDr、COLO205、SW480、DLD-1)において、KGFR mRNA、タンパクの発現をそれぞれ確認した。 正常、および大腸癌組織のホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いた免疫組織化学染色法において、KGFRタンパクは正常粘膜の表層に存在した。連続切片に対する細胞増殖マーカーKi-67による染色では陽性所見の局在は基底側の増殖帯にみられた。癌組織においては、56例中35例(62.5%)が陽性であり、高分化線癌組織において有意に高率に発現していた。また、KGFRタンパクの局在は癌胞巣の中心部にあり、Ki-67は癌胞巣の辺縁部に多くみられた。亭分化線癌組織においてはKGFRの陽性所見は全くみられなかった。細胞分化のマーカーCytokeratin20による染色も行なったところ、KGFRの陽性部位と完全に一致していた。 元来増殖因子は細胞のいわゆる「増殖」に関与していることが知られているが、今回の結果から、KGFRは「増殖」のみならず「分化」に関与している可能性が示唆された。 唾液腺癌、前立腺癌では培養癌細胞にKGFRを導入することにより、分化誘導やアポトーシスがおこることが確認されているが、培養大腸癌細胞でもpiGENE^<TM> tRNA vectorを用いたKGFRの導入、あるいはSiRNAによるKGFRmRNAの発現阻害による形態学的、あるいは機能的な変化を検討することにより、新たなる分子標的治療としての可能性が出てくると考えられた。
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