2005 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌細胞におけるビスフォスフォネート製剤と放射線療法の併用効果に関する基礎的検討
Project/Area Number |
16790769
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
山口 美樹 久留米大学, 医学部, 助手 (70330834)
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Keywords | 乳癌 / Bisphosphonate製剤 / 放射線療法 / アポトーシス / 細胞周期 / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
再発乳癌、特に骨転移に対して放射線療法は疼痛緩和や腫瘍縮小にすぐれた効果を発揮する。このように乳癌に対して、放射線療法は多大な有効性が認められているにもかかわらず、その抗腫瘍効果に関するメカニズムは明らかではない。さらに、最近では骨転移に対して、Bisphosphonate製剤が有効とされており、高カルシウム血症の改善のみならず、抗腫瘍効果も確認されている。臨床的に乳癌の骨転移に対しては、放射線療法とBisphosphonate製剤の併用はよく行なわれる治療法であるが、放射線療法とBisphosphonate製剤の併用に関する基礎的な報告はいまだにみられず、その抗腫瘍効果のメカニズムを解明することは意義あることと考えられる。Bisphosphonate製剤存在下で放射線療法を併用したときの抗腫瘍効果を乳癌培養細胞であるMCF-7、MDA-MB-231細胞を用いin vitroで検討した。その結果、それぞれの細胞においてBisphosphonate製剤1μM、放射線療法単独群(3Gy)ではほとんど増殖抑制効果がみられなかったが、併用群では明らかな抗腫瘍効果が認められた。また、MCF-7細胞においてBisphosphonate製剤単独では5%、併用群では30%のアポトーシス細胞がみられ、併用群において有意にアポトーシスの誘導が増加した。Cyclin D1の発現変化をWestern blotで検討すると、併用群において発現が著明に低下した。また、ERK MAPKのリン酸化の変化を検討すると、併用群では著明なリン酸化抑制が認められた。以上の結果より、放射線療法とBisphosphonate製剤の併用は細胞周期や細胞内シグナル伝達を変化させることによりアポトーシスを誘導することが示唆された。
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