2005 Fiscal Year Annual Research Report
進行膵癌における遺伝子異常の検討と治療法選択法の確立
Project/Area Number |
16790773
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中村 典明 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助手 (10372442)
|
Keywords | 膵癌 / 抗癌剤感受性 / Gemcitabine |
Research Abstract |
1)膵癌細胞株における抗癌剤耐性株の作製 基礎実験として、膵癌で臨床上最も汎用されているGemcitabineを用いて、反復投与法によりGemcitabine耐性株の作製を行った。具体的には0.1^-10 MのGemcitabineに培養液を調整してを2^-3日に1回反復投与していく。約10日から2週間で、恒常的に発育するGemcitabine耐性株ができる。実際にはPANC-1(膵癌細胞株)を用いて行った。およそ1Mで比較的良好に薬剤耐性細胞のセレクションができることが分かった。しかし、表現型として、耐性型PANC-1は、比較的継代するのに難があり、継代に弱い傾向があった。以上の如くに薬剤耐性細胞株を2種類作製した。 2)薬剤耐性株の評価 先の薬剤耐性株に対し、GemcitabineのIC50をMTSアッセイにより評価した。野生株と耐性株にはIC50において約20倍の差が認められ、薬剤耐性の遺伝子プロファイルを検討する材料としては優れているものが得られた。次にこれまでに作製した、PTEN抗体を各耐性細胞株について、ウェスタンブロッティング法を用いて、PTENの発現を検討したが有意な結果は得られなかった。今後さらに薬剤感受性マーカーの探求が望まれる。 3)各種薬剤耐性マーカー遺伝子の評価 現在様々な薬剤耐性マーカーが知られており、これらのマーカーについて今回作製した耐性株を用いて、その発現の違いを、RT-PCR、ウェスタンブロッティング等の手法を用いて現在更に検討中であるが現在は有意なものは得られていない。 4)本研究の一つの重要な側面として、切除材料の解析を行う。切除材料のホルマリン固定パラフィン包埋材料を用いて、免疫組織染色法を行う。これによりPTENの発現の有無を検討した。臨床検体を用いて、PTEN抗体による、免疫組織染色を施行した。組織学的分化度とPTENの発現は負の相関関係があることが判明した。すなわちPTENの発現が低いものほど、組織学的分化度が低く悪性度が高いことが示された。しかし膵癌症例の予後と、PTENの発現は症例数が少ないこともあり、明らかではなかった。今後は症例数を増加させていきたい。
|