2004 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌におけるASCのメチル化抑制の意義および遺伝子治療への応用
Project/Area Number |
16790780
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
大塚 隆生 佐賀大学, 医学部, 助手 (20372766)
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Keywords | p53 / 抗癌剤感受性 / 大腸癌 / アポトーシス / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
【目的】癌の約半数で変異がみられるp53は、細胞の癌化および抗癌剤・放射線感受性に重要な影響を及ぼす癌抑制遺伝子であり、多彩な標的遺伝子の転写を誘導することで、細胞周期停止、アポトーシス誘導、DNA修復を行う機能を持つ。近年、新たにp53の標的遺伝子であることが明らかとなったASC (Apoptosis-associated Speck protein containing CARD)は、p53誘導型のアポトーシスを制御する遺伝子の一つである。アポトーシス誘導遺伝子を癌細胞内に導入し、抗腫瘍効果を期待するのは理にかなっており、p53やその標的遺伝子であるBax、Noxa等の遺伝子導入による抗腫瘍効果は数多く報告されている。今回ASCの遺伝子治療への応用の可能性について検討した。【方法】ASC発現アデノウイルスを作成し、ヒト大腸癌細胞株に感染させ、アポトーシス誘導効果を観察した。更に、抗癌剤(adriamycin, mitomycin C, etoposide, actinomycin D等のp53誘導型)、もしくはp53発現アデノウイルスを併用し、ASC+p53同時誘導で得られる抗腫瘍効果についても検討した。【結果】アデノウイルスによるASC導入はヒト大腸癌細胞株に有意にアポトーシスを誘導した。野生型p53を持つ細胞株では抗癌剤を併用することで、またp53欠損細胞株ではp53発現アデノウイルスを併用することにより、より高いアポトーシス効果が得られた。【結論】ASC遺伝子導入が、有効な癌治療戦略の一つになり得ることが示唆された。また、癌抑制遺伝子p53を同時に発現・誘導させることにより、より高い抗腫瘍効果が期待できる。
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