2004 Fiscal Year Annual Research Report
インターロイキン1α及びNFкB下流遺伝子を標的とした膵癌肝転移治療の基礎研究
Project/Area Number |
16790782
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山本 稔 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (70347417)
|
Keywords | IL-1α / NFκB / cyclinD1 / CDK inhibitor |
Research Abstract |
【目的】膵癌における肝転移形成の進展機序についてInterleukin-1α(IL-1α)とその転写因子であるNFκBの関与および、IL-1αによる遺伝子発現の変化より検討した。 【方法】ヒト膵癌培養細胞株(BxPc-3, SW1990, Capan-2, MiaPaCa-2)を用いIL-1α発現と転移能を評価した。SW1990にIL-1αアンチセンス遺伝子を導入した株を作成し転移能を検討した。Mia-PaCa-2にIL-1α遺伝子を発現導入した株を作成し転移能を検討した。また、IL-1α導入株における遺伝子発現変化をDNAchipを用いて検討した。各細胞のNFκB活性をゲルシフトアッセイで検討した。 【結果】肝転移群(BxPc-3, SW1990)にてIL-1αの発現が認められた。IL-1αアンチセンス株に於いては転移が認められなかった。NFκBの活性化は転移群に認められたが、IL-1αを抑制してもNFκBの活性に変化は認められなかった。Mia-PaCa-2にIL-1α発現導入株のうちに肝転移能を獲得した株が認められ、DNA chipの検討にてcyclin D1の発現増強とcyclin-dependent kinase inhibitor3の発現低下が認められた。 【考察】膵癌培養細胞株を用いた結果では、IL-1αの発現が肝転移に関与していることが示唆された。IL-1αの刺激はレセプターを介してNFκBを活性化しIL-1α自身を含む炎症に関連する遺伝子群の転写を促進することが知られている。今回の結果では、NFκBの活性化はIL-1αに依存しておらず、むしろIL-1αの発現に関与している可能性が示唆された。 【結語】膵癌の肝転移進展機序においてIL-1α、NFκB、cyclin D1、CDK inhibitorの関与が示唆された。
|