2005 Fiscal Year Annual Research Report
γグルタミルシステイン合成酵素特異的制御による肺癌のシスプラチン耐性克服
Project/Area Number |
16790801
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
井上 芳正 東海大学, 医学部, 助手 (30306716)
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Keywords | γグルタミルシステイン合成酵素 / シスプラチン / 抗癌剤感受性試験 / リボザイム |
Research Abstract |
γグルタミルシステイン合成酵素(GCL)は、グルタチオン合成における律速酵素である。modifier subunit (GCLM)とcatalytic subunit (GCLC)の2つのsubunitから成り、白金製剤の耐性に関与するとされている。 1.本年度も昨年に引き続き腫瘍検体の採取とシスプラチンに対する抗癌剤感受性のデータの集積をおこなった。7例について感受性試験を行い、4例について成功した。 来年度も引き続き症例の集積をおこない、シスプラチンの感受性とGCL各サブユニットの発現の関係について検討する予定である。 2.本年度我々は、非小細胞肺癌(NSCLC)切除検体におけるGCLの各サブユニットの発現をreal time PCRで測定し、発現がNSCLCの予後に与える影響を検討した。 対象・方法 1989〜99年に東海大学病院で根治的手術を施行したNSCLC 74例。全例に白金製剤を含む術後補助化学療法が施行されている。 生存期間の統計解析にはログランクテストを用い、P<0.05で有意差判定とした。 結果 GCLM、GCLCの高発現をそれぞれ10例、7例に認めた。GCLMとGCLCの発現は有意に相関していた(Spearman correlation coefficient, 0.65 ; p<0.0001)。各subunitともに高発現群が低発現群に比較して有意に予後不良であった(p=0.0164,p0.005)。病理病期で層別化した比較でもこの傾向は保持された(p=0.0009、p=0.0051)。 結語 本研究は白金製剤で治療された癌腫において、GCL発現が予後に影響を与えうることを初めて示したものである。GCLの機能を考慮すると、GCL高発現例はグルタチオンの産生能力が高いため、白金製剤の効果が低く、予後が不良であることが示唆された。
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