2004 Fiscal Year Annual Research Report
循環器治療QOL向上のための循環器制御構造に関する臨床解剖学的基盤
Project/Area Number |
16790804
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
川島 友和 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00328402)
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Keywords | 臨床解剖 / 肉眼解剖学 / 心臓 / 自律神経系 / 刺激伝導系 / 循環器 |
Research Abstract |
本年度は、心臓の内在性制御構造である心臓刺激伝導系に関する臨床解剖学的解析を行い、その成果をまとめた(Kawashima and Sasaki : Surg Radiol Anat:2005)。刺激伝導系は剖出技術の困難さから、専門書でさえほとんどマクロ像の提示が行われていない。一部の原著等に示されている例は、最も解剖しやすく綺麗に観察できる例であり、その情報に乏しい。我々の観察では、その例は約半数であり、多数のvariationが見られた。特に、心内膜に覆われた状態で房室束(ヒス束)の一部が露出している例が約2割に観察されたことから、不整脈治療であるelectrical ablationや心室中隔欠損症の外科的修復の際に注意を要する。また、これらの房室束の走行variationは、刺激伝導系の形態形成を理解すれば説明可能であることも詳述した。 一方、心臓の外来性制御構造である心臓自律神経系に関する解析は、現在進行中であるが、新知見が多数観察されている。残りの研究期間内に成果をまとめられることが期待できる。 なお、上述の2つの研究中に、その他の部位においても多数の知見が得られ、研究成果として発表した。ヒト下大静脈肝分節欠損例と正常静脈系variationを比較言及した解析(Kawashima et al., Eur J Anat,2004)、ヒト浅上腕動脈と腕神経叢の関係の解析(Kawashima et al., Folia Morphol,2004)、心臓ならびに大血管の形態形成を考える上での手がかりとなる原始的脊椎動物の軟骨魚類を用いた鰓弓神経の研究(Kwashima et al., Anat Histol Embryol,2004)などである。
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