2005 Fiscal Year Annual Research Report
LPS投与モデルに於けるナトリウム利尿ペプチド受容体の調節機構
Project/Area Number |
16790809
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
真栄城 兼誉 久留米大学, 医学部, 助手 (50320213)
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Keywords | 敗血症 / ARDS / ナトリウム利尿ペプチド / ナトリウム利尿ペプチド受容体 / 中性エンドペプチダーゼ阻害剤 |
Research Abstract |
重症感染症や過大な手術侵襲は肺の血管透過性を亢進させ、その結果急性呼吸促迫症候群(以下ARDS)を合併することがある。ARDSにおいて血中のナトリウム利尿ペプチド(ANP,CNP)が上昇する傾向にある。ナトリウム利尿ペプチドは肺血管の透過性に関与しており、敗血症における肺血管透過性の亢進において関与している可能性が考えられた。平成16年度ではLPSを投与した敗血症モデルラットを作成し、ラットにLPSを投与し投与後1時間から6時間まで一時間おきに血清及び肺組織を採取しANP及びCNP濃度の変化及びその生理活性受容体(NPR-A)及びクリアランス受容体(NPR-CのmRNAレベルの変化を観察した結果、血清ANP値がLPS投与後4時間後に高値となり、NPR-Cがup-regulationされる傾向が見られた。一方CNP濃度の変化は軽度であった。この結果を受けて、平成17年度ではANP分解酵素(エンドペプチダーゼ)を阻害するチオルファンを投与し、ANP及びその受容体につき変化を観察する事とした。(方法)LPS投与後1時間後にエンドペプチダーゼ阻害剤であるチオルファンを経静脈的に投与し、投与後2,4,6時間後の血清及び肺組織を採取し、血漿及び肺組織内のANP濃度をラジオイムノアッセイにて測定した。NPR-AおよびNPR-CのmRNAをリアルタイムPCRにて定量化し測定した。(結果)LPS投与モデル血清及び肺組織中のANP濃度は経時的に上昇し、投与後4時間後でピークを迎え、その後暫減した。受容体のmRNAについては、NPR-AmRNAは投与後2時間後にピークを迎えた反面、クリアランス受容体であるNPR-CのmRNAは6時間後にピークを迎えた。一方チオルファン追加投与モデルでは、LPS単独モデルより血清及び肺組織中のANP濃度が著明に減少していた半面、NPR-CmRNAが活性化されていた。(考察)LPS投与によりANP濃度の上昇を認めたが、その生理活性受容体は反応に乏しく、LPS投与によりクリアランス受容体のup-regulationが生じたと思われた。チオルファンを投与した結果NPR-CmRNAが4時間後にピークを迎えた事は、エンドペプチダーゼ阻害剤であるチオルファンは敗血症の肺では特にクリアランス受容体に強く働く傾向があると考えられた。この事はチオルファン投与によって血清ANP濃度が低下した事とあわせて考えると、敗血症下でのエンドペプチダーゼ阻害作用は、生理活性を有しないANPをクリアランスしている可能性があると考えられた。(結論)敗血症においてチオルファンはクリアランス受容体であるNPR-Cに強く作用を示す。
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