2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血、大脳白質病変における神経軸索伸長阻害因子抑制の効果に関する研究
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16790813
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
小久保 安昭 山形大学, 医学部, 助手 (40343074)
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Keywords | 慢性脳虚血 / oligodendrocyte / axon / glial progenitor / 大脳白質 / leukoaraiosis |
Research Abstract |
慢性脳虚血モデルは雄SDラット(200-300g)を用いて両側総頚動脈閉塞を行い作成した。4週(n=9)、6週(n=7)後に脳組織評価を、コントロール群(n=2)と比較検討した。運動機能の評価は術前、両側総頚動脈閉塞後1,2,3,4,5,6週目にローターロッド(毎分8回転)を用いて転落するまでの時間を測定して行った。脳組織評価は脳切片を、bregmaより4.74mm深部の水平断でスライス厚20μmで作成し、corpus callosumにおける変化を評価した。染色はLFB染色とNG2抗体(premature oligodendrocyteの染色)及び、GST-π抗体(mature oligodendrocyteの染色)を用いた免疫組織化学染色を行った。LFB染色によるmyelinの障害はsevere、moderarte、mildの3群に分けて評価した。また、corpus callosumおけるmicroscope一視野(110μm^2)あたりNG2陽性細胞数、GST-π陽性細胞数を評価し、経時的変化およびローターロッドによる運動機能やLFB染色によるmyelinの障害を比較検討した。 severe、moderarte、mildの3群におけるローターロッドの結果はsevere群で1438.6±313.4秒、moderarte群で1436.3±264.9秒、mild群で1772.5±350.4秒であった。NG2陽性細胞数はsevere群で161.2±17.4/110μm^2、moderarte群で143.6±14.7/110μm^2、mild群で117±19.5/110μm^2であった。GST-π陽性細胞数はsevere群で482.4±47.6/110μm^2、moderarte群で443.9±40.3/110μm^2、mild群で432.3±53.3/110μm^2であった。NG2陽性細胞およびGST-π陽性細胞の発現数の経時的変化についてはNG2陽性細胞が4週目で125.1±11.9/110μm^2、6週目で164.7±13.5/110μm^2であり6週目で有意に増加を示した(p<0.05)。GST-π陽性細胞数は4週目で444.2±34.8/110μm^2、6週目で464.3±39.5/110μm^2であった。 LFB染色での3つのグレートsevere、moderarte、mildにおけるローターロッド1週目の平均値が、それぞれ318、828、1427secであり、組織障害の程度と運動機能低下に相関があることが認められた。 4,6週後のNG2染色陽性細胞数とGST-π染色体陽性細胞数はコントロールに比べ、明らかに増加していたことから、prematureのオリゴデンドロサイト並びにmatureオリゴデンドロサイトが増加していることが示唆された。
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