2004 Fiscal Year Annual Research Report
下垂体腺腫におけるPPARγの発現と下垂体の機能分化に関わる転写因子との関連
Project/Area Number |
16790836
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
田原 重志 日本医科大学, 医学部, 助手 (80277540)
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Keywords | pituitary / pituitary adenoma / PPARγ / transcription factor / Egr-1 / immunohistochemistry / RT-PCR |
Research Abstract |
ステロイドホルモン受容体ファミリーに属するPeroxisome proliferators-activated receptor (PPAR)の中でPPARγは下垂体腺腫の増殖抑制に関与していることが報告されている。このPPARγのリガンドであるthiazolidinedione (TZD)系薬剤の投与により、Pit-1の発現が減少したとの報告もあり、下垂体機能分化に関わる転写因子とPPARγとの関連について注目されている。PPARγ agonistは薬物療法に効果がない非機能性下垂体腺腫に対しても、増殖抑制効果があるとされており、本年度はまず下垂体機能分化に関わる転写因子の中で非機能性腺腫に関連の深いEgr-1について検討した。Egr-1は、元来血管損傷時に発現する転写因子として注目されていたが、近年下垂体におけるgonado-tropin subunitの発現に関与しているとされている。今回、我々は非機能性下垂体腺腫54例につき、免疫組織化学、RT-PCR法、Western blotting法を用い検討を行った。結果はそれぞれ63.8、67.9、63.6%の症例が陽性であり、特にgonadotropin subunit陽性例については78.6、86.9、71.8%と有意に高い発現率を示した。さらに、機能性腺腫についても同様の検討をいったが、GH産生腺腫に約70%と高い発現が認められた(これらの大部分はαSU陽性であった。)。また、免疫組織学的に二重染色を行うと、LHβ,FSHβ,αSUとの強い相関性を示した。さらにEgr-1は、他の転写因子や膜受容体の発現とも関連性を示し、他のゴナドトロピンと関連の深いLim3,SF-1/Ad4BP,GnRHについては同時に発現する症例が多数認められた。これらの結果より、非機能性腺腫は高い比率でゴナドトロピンサブユニット発現の分子機構を持ち、Egr-1がその機構に強く関与していることが示唆された。来年度はEgr-1を中心とした下垂体機能分化に関わる転写因子とPPARγとの相互作用につき、さらに検討する予定である。
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Research Products
(3 results)