2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16790841
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大鳥 精司 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (40361430)
|
Keywords | 疼痛 / 遺伝子 / 神経根 / 腰痛 / Adeno-associated virus |
Research Abstract |
腰椎椎間板ヘルニアの痛みは、疼痛伝達物質や炎症性サイトカインに惹起され、神経再生の阻害によって遷延する。腰椎椎間板ヘルニアによる神経根性疼痛を惹起するサイトカインのうち、特にTumor necrosis factorが主要因子と報告されている。基礎的実験や臨床試験にて、Tumor necrosis factorの阻害薬が、腰椎椎間板ヘルニアによる神経根性疼痛を抑制することが報告された。 我々は、神経根障害時には末梢神経、後根神経節や脊髄のシュワン細胞やグリア細胞が活性化され、Tumor necrosis factorを介し、疼痛を惹起していることを示した(Ohtori et al., 2004)。Tumor necrosis factorはさらにシュワン細胞やグリア細胞を増殖させることも報告した(Ohtori et al., 2004)。 これらの機序を踏まえ、除痛を目的に活性化されたグリア細胞やシュワン細胞に、神経栄養因子やモルヒネ様物質を産生長期発現させることが可能であれば、腰椎椎間板ヘルニアによる神経根性疼痛を抑制することが可能と考える。そこで我々は、Lac-Zを組み込んだAdeno-associated virusを経坐骨神経、後根神経節に導入し、後根神経節や脊髄における遺伝子導入を示した(Saito et al., 2006)。またこのLac-Zの発現が4週以上持続することを示した(Saito et al., 2006)。 さらにそのような神経伝達に関して重要である、リガンド、リセプターの下流に存在するmitogen-activated protein kinaseである、ERK, p38が、腰椎椎間板ヘルニアのような神経障害時に発現が増強され、またp38の阻害薬を用いるとその疼痛行動や、神経障害が抑制出来ることを証明した(Doya et al., 2005, Ohtori et al., 2005)。以上のことは、腰椎椎間板ヘルニアによって、Tumor necrosis factorはシュワン細胞やグリア細胞を増殖させるが、これらに遺伝子導入やmitogen-activated protein kinaseを使用することで長期間の除痛が可能であり、今後臨床応用可能な方法と考えている。
|
Research Products
(6 results)