2004 Fiscal Year Annual Research Report
骨転移をきたした乳癌細胞による骨破壊および腫瘍増大機序の解明
Project/Area Number |
16790849
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
糸永 一朗 大分大学, 医学部, 助手 (10295181)
|
Keywords | 破骨細胞 / 骨破壊 / 骨転移 |
Research Abstract |
これまで我々は、ヒト末梢血monocyteや、実際に手術中に患者さんより採取した関節滑膜などを使用し、ヒト破骨細胞の分化・形成機序やこの破骨細胞形成による関節破壊機序、さらにはそれに影響をおよぼす因子、抑制効果のある薬剤などに関して研究を行ってきた。さらに乳癌のcell lineによる破骨細胞形成への影響の研究(Br J Cancer 2001)や、原発性の骨腫瘍性病変に存在する細胞の特徴を明らかにし、病変部位での破骨細胞形成機序を解明してきた(J Pathol 2002, J Oral Path Med 2003)。これらの研究では、破骨細胞形成という観点において、実際に患者さんから採取した組織を使用し、細胞生物学や免疫組織学、分子生物学などの手法を用い多角的に検討することによって、より臨床の病態を反映した研究が可能になるという発想にいたった。 平成16年度、我々はヒト単球を使用し、in vitroで破骨細胞を多量につくりだす実験系をつかって、抗ヒトTNFα抗体である、Infliximabの破骨細胞形成における影響を検討した。in vitroではInfliximabはヒト破骨細胞形成および骨吸収を著明に促進した。この結果は日本リウマチ学会の英文雑誌である、Modern Rheumatologyに掲載される予定となっている。 転移性骨腫瘍において、骨転移を来たし、腫瘍性に骨溶解の生じた部位より、組織を採取し、一部病理組織標本として使用し、残りの組織から腫瘍細胞を分離した。この腫瘍細胞は液体窒素中に保存しており、平成17年度に破骨細胞形成の実験に使用する予定である。
|