2004 Fiscal Year Annual Research Report
末梢神経損傷後の神経栄養因子の働きおよび神経、筋の回復に関する研究
Project/Area Number |
16790850
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
榊間 春利 鹿児島大学, 医学部, 助手 (10325780)
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Keywords | 末梢神経損傷 / ミッドカイン / LRP / PTPζ / 再生 / 骨格筋 / 機能回復 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
1)末梢神経損傷後の神経栄養因子ミッドカイン(Midkine : MK)の発現と働き 成長因子MKは塩基性の低分子量蛋白質で、細胞の増殖、生存、移動を促進するなどの多彩な活性をもつ。今回、末梢神経障害後のMKの発現や機能に関して調べた。 ラットの右坐骨神経を凍結損傷して末梢神経障害モデル動物を作製し、凍結5週後まで腰髄運動ニューロンと坐骨神経を観察した。免疫組織化学染色、In situ hybridization、ウエスタンブロッティング法を行った結果、腰髄運動ニューロンにMKの発現が観察された。さらに、MK mRNAの発現は凍結1〜7日まで損傷側腰髄運動ニューロンに強く発現し、損傷側より遅れて反対側にも弱く発現した。ウエスタンブロッティング法によりMK陽性細胞がMK蛋白であることを確認した。逆向性軸索輸送法により坐骨神経支配の腰髄運動ニューロンがMK陽性であることが分かった。骨格筋の筋湿重量は坐骨神経凍結後減少したが3週後には増加を示した。MKの発現は筋湿重量の増加の見られる3週後に一過性に発現が増加した。4週、5週には免疫組織化学染色で検出できなかった。 MKのレセプターであるLow density lipoprotein receptor-related protein (LRP)とreceptor-type protein tyrosine phosphatase ζ (PTPζ)の免疫組織化学染色により、腰髄のグリア細胞や運動ニューロンにLRPの発現が観察された。坐骨神経の再生が観察される3週後のbunger束のシュワン細胞にLRPとPTPζが存在する事が免疫組織化学染色で示された。 これらのことより、坐骨神経損傷後、早期に坐骨神経支配の脊髄運動ニューロンにMKが発現し、LRPを介してautocrine的機序により取り込まれ、坐骨神経を遠心性に輸送され、損傷部のシュワン細胞でミエリン形成に関与していることが示唆された。
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