2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳低温療法のニューロン保護効果におけるマイクログリアとサイトカインとの関連
Project/Area Number |
16790877
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松井 智浩 山口大学, 医学部, 助手 (50314828)
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Keywords | 脳低温療法 / マイクログリア / 炎症性サイトカイン / 抗炎症性サイトカイン / 一酸化窒素(NO) / 軽度低温培養 / 高温培養 |
Research Abstract |
脳損傷後の2次的脳障害発生に脳脊髄液中サイトカインの関与が知られているが、脳保護作用を目的とした脳低温療法によるサイトカインの修飾作用は不明のままである。脳内の主要な免疫担当細胞であるマイクログリアは、サイトカインや一酸化窒素(NO)等の産生を介し、細胞障害と密接に関与する。よって本年度の研究では、マイクログリアの軽度低温培養により、これらの産生がどのように影響を受けるのか調べた。また、高温培養による変化も併せて調べた。 新生仔ラット(Wistar:1-2日齢)よりマイクログリアを単離し、LPS添加後、低温(33℃)、常温(37℃)、高温(39℃)下で各々6、24、48、72時間培養した。培養上清中のサイトカイン(炎症性:IL-1β、IL-6、IL-8、抗炎症性:IL-10)とNO_2^-(NOの代謝産物)産生量は、それぞれELISAと比色法により測定した。 その結果、1)IL-1β産生は、33℃では37℃に比べ6時間のみ低値を示した。37℃と39℃には差が見られなかった。2)IL-6産生は、33℃では37℃に比べ6時間のみ低値となり、39℃では37℃に比べ6-72時間抑制された。3)IL-8産生は、各温度間で差は見られなかった。4)IL-10産生は、33℃では37℃に比べ24-72時間で低値を示し、39℃では37℃に比べ48-72時間で高値を示した。5)NO_2^-産生は、33℃では37℃に比べ6-72時間で低値となり、37℃と39℃には差はなかった。 以上より、1)軽度低温(33℃)下では、マイクログリアからのIL-1β、IL-6、IL-10およびNO産生は抑制されること、2)高温(39℃)下では、IL-10産生のみ増加すること、が判明した。これらの結果は、脳低温療法による脳保護作用の一機序には、マイクログリアからの炎症性物質抑制のみでなく、抗炎症性物質の抑制も密接に関与することを示唆する。更に、IL-10の温度依存性変化より、IL-10は脳低温による神経保護作用、脳高温による神経障害作用のそれぞれに重要な役割を果たしていることが示唆された。
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Research Products
(3 results)