2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16790885
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
速水 元 横浜市立大学, 医学部附属病院, 助手 (70285146)
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Keywords | 術後認知機能障害 / positron emission tomography / 人工股関節置換術 / 高齢者 / 全身麻酔 |
Research Abstract |
目的 高齢者における術後の一時的な認知機能の低下が10〜20%に出現するとされている.しかしながら認知機能の検査のみであり脳内の変化については全く不明である.本研究では高齢者手術における認知機能低下患者においてPET(positron emission tomography)を用いてその変化を調査検討することを目的とする. 方法 60歳以上の変形性股関節症の患者5名(5例とも女性)に対し人工股関節置換術を予定された患者5名を対象とした.術前にインフォームドコンセントを得た後,手術3〜4日前に認知機能検査と頭部PET検査を術前コントロールとして測定した.手術に対する麻酔として全身麻酔と硬膜外麻酔を併用した.手術後は7日間ベッド上安静とし8日目より離床とした.術後10日目に再度認知機能検査と頭部PET検査を施行し,術前と比較した. 結果 麻酔時間は2時間30分から3時間30分の範囲であり,手術中に高度の低血圧や大出血はなかった.麻酔の覚醒も特に問題なかった.術後の疼痛は持続硬膜外麻酔によりコントロールされ大量の鎮痛薬を使用した症例もなかった. 術前と術後の認知機能検査と頭部PET検査においては全例変化がなかった. 考察 全症例において認知機能障害は認められなかった.またPET検査においても変化がないことは脳内の異常も認められていないことを示唆している.つまり認知機能障害とPET検査異常の関連について現段階では何もわからないことになる.これは一時的な認知機能低下は10〜20%の患者しか起こらないため,現段階では症例数が不足しているためと思われる.今後症例数を増やしさらに検討を重ねたい.
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