2006 Fiscal Year Annual Research Report
水チャネルアクアポリンを標的とした新しい脳浮腫治療法の開発
Project/Area Number |
16790887
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
平手 博之 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助手 (20363939)
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Keywords | 中枢神経 / 納浮腫 / アストロサイト / 水チャネル |
Research Abstract |
脳においてアクアポリン4(aquaporin4:以下AQP4)は水の移動だけでなく、様々な機能を持っている可能性があると考えているが具体的な機能はまだ十分解明されていない。一方で、脳浮腫は頭部外傷、脳血管障害、脳腫瘍など様々な病態に随伴して発症し、しばしば致命的となるが、その病態は、Astの膨化(水の移動による)とそれに伴う二次的神経細胞死と考えられている。AQPが脳浮腫に関与している可能性はこれまでの研究から示唆されているが、その発生機構は十分に解明されていないのが現状である。本研究では、浸透圧変化に対するAQP4の発現変化と脳の水分変化との関係のデータを収集している。 本年度は、AQP4の発現の差異が、臨床治療の用いられる薬物での脳水分変化の差につながっているのではないかという仮説を検証するためのデータ収集を行った。高調のNaClとマンニトールの投与で血清浸透圧の上昇が同程度になるように調整した場合においても、マンニトールを投与された群の方が高調NaCl群よりも脳水分量が低下しており、血清浸透圧以外の何らかの作用が働いたため両群で脳水分量に差が認められたと考えられる。そこで両群の脳組織を採取し、ウエスタンブロット法でAQP4の発現を検討した。現時点ではAQP4発現の有意な差は検出できていないが、傾向としてマンニトール群の方が発現が多い傾向がっかめている。今後、AQP4発現の有意差が証明できれば、さらには免疫染色で実際の組織での発現を検出して、それらの結果からAQP発現の調節を主眼においた新しい脳浮腫治療法確立への基礎的知見となる可能性がある。
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