2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16790889
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
影山 京子 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (80347468)
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Keywords | トボリノン / 抗血小板薬 |
Research Abstract |
ホスホジエステラーゼ阻害薬であるトボリノンの血小板にたいする影響を検討した。健康成人ボランテイア男性より血液を採取、濃厚血小板を分離した。凝集惹起物質であるトロンビンを添加し、ヘマトレーサーを用いて血小板凝集率50%をひきおこすトボリノンの濃度(つまり50%は凝集抑制が起きる濃度:IC50)を算出した。その濃度は9.7±0.9μMであった。次に血小板凝集反応がおきた時の血小板細胞内Caイオン濃度の変化をフルオロメーターで測定し、トボリノン(IC50)を添加して凝集抑制がおきた場合について検討した。血小板内にはCa貯蔵部位であるDTS(dense tubulara system)があるが、DTSからのCaイオン放出と血小板細胞外からのCaイオン流入と2つの側面から測定を行った。トボリノンを投与した場合、非投与時に比べ有意にCaイオン放出、流入ともに抑制が認められた。さらにトボリノンはcyclicAMP濃度を上昇させ、強心作用を発揮するが血小板凝集抑制には血小板内cyclicAMP濃度の上昇も関わっており、トボリノン投与時の血小板内cyclicAMP濃度の上昇もあわせて測定した。トボリノン投与時、血小板内cyclicAMP濃度は非投与時に比べ有意に上昇を認めた。以上の結果からトボリノンには血小板凝集抑制作用があり、cyclicAMPを介した細胞内Caイオン濃度の上昇の抑制が示唆された。今後、ウエスタンブロッテイング法を用いてさらなる凝集抑制作用の機序を解明し抗血小板作用をあわせもった強心薬の開発の一助としたい。
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