2004 Fiscal Year Annual Research Report
心臓血管手術周術期における炎症性サイトカイン上昇機序の解明と遺伝子治療の応用
Project/Area Number |
16790891
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
中嶋 康文 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (70326239)
|
Keywords | サイトカイン / 心臓血管外科手術 / サイトカインバランス / アミノ三輸液 / 入院期間 / 心房細動 |
Research Abstract |
本年度は、まず臨床研究において(心臓血管手術周術期)において、アミノ酸輸液が術後の人工呼吸時間、ICU入室期間、入院期間に及ぼす影響を調べた。アミノ酸輸液により術中の中枢体温が生理食塩水輸液群に比べ0.7±0.2度上昇し、有意に患者の周術期Outcomeを改善したことを日本麻酔学会等で報告した。また、アミノ酸輸液により血漿中IL6,IL8,sCD40,MMP9濃度が有意に低下したことも分かった。 別の臨床研究に於いては人工心肺下心臓血管手術を対象にControl群、ステロイド群、PDE IIIinhibitor群の3群をDouble Blind Randomized Prospective Studyにて周術期の血漿中炎症性サイトカイン、及び抗炎症性サイトカイン濃度を測定した。また同じTime Pointで経気管支ファイバー下にマイクロサンプリング法により肺胞上皮被覆液を採取し濃度測定を行い比較検討した。血漿中及び肺胞上皮被覆液中共にステロイド及びPDE III inhibitor投与により炎症性サイトカイン濃度上昇(IL6,IL8,sCD40,MMP9)が抑制され、抗炎症性サイトカイン濃度(IL10,TIMP1)が上昇した。サイトカイン濃度の値は肺胞上皮被覆液中濃度が約10倍高い濃度を示した。 また、Logistic解析を用いた臨床研究では、心拍動下冠動脈再建術後(約300例)の心房細動の発生に最も関連の深い要因を調査した。その結果、心拍動下においても人工心肺下冠動脈再建術と同様の心房細動発生率を示し(約30%)、心拍動下の優位性がない事が分かった。また、高年齢は心房細動を助長する因子として、輸液負荷、術中の高心拍出量が心房細動を抑制させる因子として働いていることが分かった。
|
Research Products
(3 results)