2004 Fiscal Year Annual Research Report
サブスタンスPの細胞内情報伝達経と侵害伝達に関する研究
Project/Area Number |
16790894
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山口 敬介 順天堂大学, 医学部, 助手 (10338410)
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Keywords | サブスタンスP / サブスタンスP受容体P / U373MG / Src / 上皮成長因子受容体 / MAPキナーゼ / ERK1 / 2 / 細胞内情報伝達 |
Research Abstract |
サブスタンスP(SP)は、疼痛や炎症などの重要な生体反応の伝達物質として生理活性に関与しており、その受容体であるSP受容体はGタンパク共役型受容体の一つに分類される。また、上皮成長因子受容体(EGFR)などの受容体型チロシンキナーゼや、Srcなどの非受容体型チロシンキナーゼはリガンドからの刺激を下流のシグナル伝達物質を会合させることで細胞内シグナル伝達系を起動することが知られている。 一方、MAPキナーゼカスケードは、細胞外からのシグナルを核に伝達し、遺伝子発現を調節することで分化、増殖、アポトーシスなどの細胞応答を制御しており、細胞内情報伝達の重要な役割を担っている。 本研究は、SPRが高濃度で発現しているヒト星細胞腫U373MG細胞株を用いて、MAPキナーゼカスケードのひとつであるERK1/2の活性化を観察することにより、SPの細胞内情報伝達機構を分子生物学的手法に解析することを目的とした。 結果、SP刺激はSPRを介して上皮成長因子受容体(EGFR)をリン酸化し、ERK1/2を活性化した。またチロシンキナーゼSrcの特異的阻害剤PP2はSP刺激によるERK1/2を抑制した。このPP2はSP誘導によるERK1/2の活性化を抑制したのみならず、ヒスタミン受容体、α1アドレナリン受容体、M3ムスカリン受容体を介したERK1/2の活性化も抑制した。 以上、ヒト星細胞腫U373MG細胞株を用いた本研究において、EGFRやSrcなどのチロシンキナーゼが細胞情報伝達機構において重要な役割を担っており、特にSrcの特異的阻害剤であるPP2はERK1/2活性化を抑制したことから、Srcが細胞増殖を抑制するための潜在的な標的分子であることが示唆された。 この結果は、Brain Tumor Pathologyに投稿した。
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Research Products
(1 results)