2004 Fiscal Year Annual Research Report
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16790900
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Research Institution | Kansai College of Oriental Medicine |
Principal Investigator |
武田 大輔 関西鍼灸大学, 鍼灸学部, 講師 (70310737)
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Keywords | パッチクランプ / 脊髄後角 / ニコチン / アセチルコリン / 疼痛 / GABA / グリシン / 制御性シナプス後電流 |
Research Abstract |
約70年前より行動学的研究でニコチンが痛覚抑制作用を持つということが示唆されてきた。しかしながら、この抑制作用の詳細な機序は明らかでない。そこで、痛覚に深く関与する脊髄後角でのニコチンによる修飾作用がどのようにして起こるのかを検討した。 ラット脊髄より脊髄スライス標本を作成し、酸素化した人工脳脊髄液を潅流することにより脊髄の神経細胞を生かした状態にしin-vitroで脊髄後角細胞にブラインドパッチクランプ方を用いることにより抑制性伝達の電気的な応答の記録が行えるようにした。脊髄での抑制性電流応答としてはGABAやグリシンといった伝達物質や受容体の反応を介する抑制性後シナプス電流(IPSC : Inhibitory Post-synaptic Current)をAxopatch200Bというアンプを用いて可視化できるようにした。本研究ではGABAやグリシンといった抑制性伝達物質が神経性ニコチン受容体によりどの様に修飾されるかを観察するため、ニコチン受容体作動薬を記録下の脊髄スライスに投与しその反応を観た。100μMのニコチンを投与すると、浅層の脊髄後角第II層、深層の第V層の両層にてspontaneousu IPSCの頻度の増加、つまりは、GABAまたはグリシンの放出の増加を認めた。これらニコチンによる抑制性伝達物質の賦活作用はニコチン受容体の拮抗薬であるメカミラミンで完全に拮抗された。これらのことより、神経性ニコチン受容体はGABAやグリシンを含有するニューロンに発現し抑制性伝達物質の開口分泌を増強させることが確認できた。
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