2005 Fiscal Year Annual Research Report
体外循環中の気管支粘膜血流量が術後低酸素血症・肺高血圧症に与える影響について
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16790903
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
山田 信一 久留米大学, 医学部, 助手 (90258484)
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Keywords | 気管支粘膜血流量 / 肺血管内皮機能 / アセチルコリン負荷テスト / 肺高血圧 / 低酸素血症 / NOx |
Research Abstract |
今回の研究は低体温心肺バイパス使用症例患者において術中アセチルコリン負荷テスト、気管と左右気管支粘膜血流量の測定、動脈血・混合静脈血採血による物質の血中濃度測定を行うことである。 麻酔導入後の気管と左右気管支、さらに各肺葉間の気管粘膜の血流量を測定し、スワンガンズカテーテルから測定された心拍出量の何%に相当するのか検討を行う。体外循環使用中に関しては、出来うる限り連続的に左右の気管支粘膜血流量変化を測定し、体温変化による変動との影響を検討する。体外循環離脱後、手術終了時にも同様に気管・気管支粘膜血流量を測定、記録する。 麻酔導入後、体外循環後一時間、手術終了時に肺血管内皮機能に対してアセチルコリン負荷テストを行い、その血管拡張能に対しての評価を行う。同時に、スワンガンズカテーテルより肺動脈から採血を行い、肺動脈内の血中ET、NOx、サイトカイン(ELISAによるIL6、IL8、TXB)等をELISA法、高速液体クロマトグラフィー法によって測定し、その物質濃度の変化によって血管・組織の障害性に関して評価を行う。さらに術中の循環動態の変化、特に肺循環に関してモニタリングおよび記録を連続的に行い、血液ガス分析や中枢温、末梢温、皮膚血流量等との関連性を追求する。周術期血行動態および術中肺高血圧症、低酸素血症の発生頻度について検討する。(血行動態持続測定、動静脈血液ガス分析、呼気中NOx測定) 現在までのところ、肺血管内皮機能に対するアセチルコリンテストでは、体外循環後に血管拡張能が抑制されている症例と血管拡張能が保持されている症例のあることがわかった。これに関しては、NOxやサイトカインの血中濃度に関連があることが示唆された。アセチルコリン負荷テストにより血管拡張能が抑制されていた症例では、NOxの濃度が減少しており、血管拡張能とNOx濃度は比例関係にあることがわかった。今後は、NOxドナーの使用により、血管拡張能の保護が可能であるのか、術後の呼吸機能に影響を与えるのかどうか、評価を行っていく予定である。
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