2004 Fiscal Year Annual Research Report
増殖型アデノウイルスベクターおよびキャリアー細胞を用いた膀胱癌に対する遺伝子治療
Project/Area Number |
16790914
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
白川 利朗 神戸大学, 医学部, 助手 (70335446)
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Keywords | 膀胱癌 / 遺伝子治療 / 臓器特異性 / プロモーター / アデノウイルス / Cox-2 |
Research Abstract |
膀胱壁筋層に浸潤する膀胱癌の約50%は、すでに癌の微小転移を有しており、1年以内に臨床上、明らかな転移巣を呈するといわれている。近年の医学の進歩、特に多剤併用抗癌化学療法の確立にも関わらず、それらの患者のほとんどは2年以内に死亡する。現在、遺伝子治療を代表とする分子標的療法が大きな注目を集めているが、膀胱癌を対象としたそれらの新しい治療法の開発も切望されるところである。 従来の非増殖型ウイルスベクターについては、その遺伝子導入効率において限界が指摘されており、癌細胞においてのみ複製される腫瘍特異的な増殖型ウイルスベクターが盛んに研究されている。本研究で用いる増殖型ウイルスベクターはウイルスの複製に必要な遺伝子、Elaを腫瘍特異的プロモーターにより制御し、腫瘍内でのみ増殖可能としたアデノウイルスベクターである。 Cox-2はサイトカインや発癌プロモーターなどの刺激により、マクロファージ、血管内皮細胞、癌細胞などにおいて誘導され、炎症反応、血管新生、発癌などに関与すると言われ、膀胱癌や大腸癌など多くのヒト癌細胞での発現増強が確認されている。我々はCox-2プロモーターを組み込んだ増殖型アデノウイルスベクター、AdE3-cox-2-327を既に作製した。本ベクターはCox-2を強発現する膀胱癌などの癌細胞においてのみ増殖可能であり、癌細胞内で複製を繰り返すことにより細胞融解を引き起こし癌細胞を特異的に殺傷する。 本年度、われわれはAdE3-cox-2-327の膀胱癌に対する抗癌作用をIn vitro, In vivo双方で確認した。
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