2004 Fiscal Year Annual Research Report
腎細胞癌に対するPIK3CAシグナル伝達異常の解析
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16790918
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
佐藤 勇司 佐賀大学, 医学部, 助手 (40363436)
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Keywords | 腎細胞癌 / 脂肪細胞 / 3次元培養 / PIK3CAシグナル伝達 / RNA |
Research Abstract |
本年度の結果 【腎細胞癌株でのシグナル伝達の検討】 我々は、すでに前立腺癌株と間質細胞(研究基盤(B)(2)08457426)や膀胱癌と間質細胞(研究基盤(C)(2)13671657)で3次元培養を行っており、間質細胞が癌細胞株の増殖と分化度に関与していることを解明した。さらに前立腺癌と脂肪細胞の3次元培養の結果、増殖、分化度、増殖因子との関係を明らかにした(Yuji Tokuda et al. BJU INTERNATIONAL 2003;91:716-720)。さらに近年、脂肪と関与するPI3Kシグナル伝達の異常が癌化に何らかの影響を及ぼすことが示唆されていることに着目し、腎細胞癌との関係について検討することとした。まず、2次元培養で細胞培養を行い、PI3Kシグナル伝達に関わる遺伝子発現の検討、腎細胞癌株とWister Ratの精巣上体周囲脂肪との3次元培養を行った。 1:脂肪細胞と混合培養は行わずに、腎細胞癌株6株(Caki1,VMRC-RCW,VMR-RCZ,KMRC-1,KMRC-2,KMRC-3)、胎児腎細胞株(293T)を2次元培養後、RNAを採取し、遺伝子発現をRT-PCRで検討した。 (1)まず、PI3Kシグナル伝達のうちAKT1の発現について検討した。正常胎児腎細胞株の発現に比べ、腎細胞癌株では、8割程度の発現量であった。現在、活性AKT1やその他のPI3Kシグナル伝達の下流遺伝子について、解析中である。 2:Wister Ratの脂肪細胞と腎細胞癌株の3次元培養では、脂肪細胞を混合させていないコントロール群に比べると脂肪細胞混合群では、アポトーシスの割合が減少の傾向にあった。PI3Kシグナル伝達下流には、アポトーシス抑制に関与する遺伝子があり、今後、RNA in situ hybrydization、免疫染色を用い、PI3Kシグナル伝達異常について、さらなる検討を行う予定である。
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