2006 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンD-ビタミンD受容体の発現・活性制御による新たな腎癌治療の基礎的研究
Project/Area Number |
16790926
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
小原 航 岩手医科大学, 医学部, 助手 (90337155)
|
Keywords | 腎癌 / ビタミンD / 個別化医療 |
Research Abstract |
ヒト腎痛細胞株および臨床検体を用いたビタミンD代謝酵素の発現検討 腎癌培養株(Caki-1,Caki-2,)におけるビタミンD代謝酵素(CYP27A1、CYP27B1、CYP24)遺伝子の発現検討を行った。 1,25(OH)2D3(10-7〜10-9 M)投与後48時間でtotal RNAを回収し、cDNAに変換後CYP27A1,CYP27B1,CYP24の発現をRT-PCRおよびreal-Time quantitative PCRにより確認した。 腎癌細胞株(Caki-1, Caki-2)におけるCYP27A1およびCYP27B1は、1,25(OH)2D3投与によって発現低下傾向にあった。一方、CYP24は1,25(OH)2D3投与により濃度依存性に発現が上昇した。 CYP24は1,25(OH)2D3投与により濃度依存性に発現が上昇し、代謝経路の活性化が示唆された。 手術標本より得られた23検体の腎癌組織中においても同様にRNAを回収しcDNAに変換後、Low stage(pT1-2 and NO and MO)群とHigh stage(pT3-4 or N+or M+)群に分けてreal-Time quantitative PCRにより相対的発現量を検討した。 腫瘍部では正常腎組織に比べてCYP27A1およびCYP27B1の発現が低下していた。CYP24の発現は上昇していた。また、low stage群に比較してhigh stage群でCYP27B1の発現が低下していた。 CYP27A1, CYP27B1の発現低下は、D3→25(OH)D3→1,25(OH)2D3系の代謝障害が示唆され、CYP24の発現上昇は1,25(OH)2D3の代謝亢進が示唆された。腎癌組織中では1,25(OH)2D3の産生障害ならびに不活化が推測された。 CYP27A1、CYP27B1およびCYP24の発現は血液中のmacrophageおよびdendritic cellにも認められることが報告されており、今後腎癌患者においても同様の検討を行いビタミンDの代謝経路を明らかにすることで、活性型ビタミンD3投与が有効な腎癌患者を選択し、来るべきオーダーメイド医療に繋げたい。
|
Research Products
(7 results)