2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16790929
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
井手 久満 杏林大学, 医学部, 助手 (00301383)
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Keywords | 前立腺癌 / CSF-1R / Csk |
Research Abstract |
前立腺基底細胞特異的表面マーカーCD44は膜貫通型の糖蛋白質で、さまざまな臓器の分化や癌の転移に関与していることが示されている。前立腺においてCD44は発達段階の未熟な前立腺上皮のみに発現し、そのリガンドであるヒアルロン酸との結合を阻害することにより、マウス前立腺の分枝上発育が著しく抑えられる。生後10日目のマウス前立腺から抗CD44抗体を用いて、CD44陽性および陰性細胞をそれぞれFACAソーティングで単離し、mRNAを抽出、Protein Tyrosin Kirase(PTK)遺伝子をスクリーニングした。PTKは細胞の増殖のみならず、接着や移動にも関与する蛋白質で、そのシグナルの活性化により癌遺伝子として働くことが知られている。同定された14種類のPTKのなかで、colony stimulating factof-1受容体(CSF-1R)ならびにC-terminal src kinase(Csk)の2つに着目した。CSF-1Rは、ネコ肉腫ウイルスから同定された癌遺伝子v-fmsのプロトオンコジーンc-fmsの遺伝子産物である。CSF-1Rの発現は、正常組織と比較し、前立腺癌組織において亢進していた。CSF-1/CSF-1Rシグナルの機能解析のために、野生型CSF-1R及び変異型CSF-1Rを有するレトロウイルスを作製し、CSF-1/CSF-1Rシグナル伝達系による前立腺癌細胞の腫瘍形成能、浸潤能を検討している。一方、Cskは最初の癌遺伝子として同定されたSrcの活性を制御する。Srcは細胞の増殖のみならず、細胞の分化、接着、移動、アポトーシスなど様々な細胞応答に関与している。しかし、その活性を制御するCskの発癌及び癌進展に関する報告はいまだに少なく、前立腺癌とCskに関する報告はみられない。今回、我々は、Cskの前立腺癌における発現につき検討し、少なくとも前立腺癌細胞株ではそのmRNAおよび蛋白質の発現がみられた。
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