2004 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌播種性転移におけるGTP結合蛋白質Rhoの役割に関する解析
Project/Area Number |
16790947
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
堀内 晶子 信州大学, 医学部, 助手 (80334895)
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Keywords | 卵巣癌播種性転移 / GTP結合蛋白質Rho |
Research Abstract |
RhoはRas類似の低分子量GTP結合蛋白であり、不活型のRho-GDPから活性型Rho-GTPに変換されRho kinase(Rock)などのエフェクター蛋白に作用し、アクチンファイバーの制御などを介して細胞の運動能に関与し、癌細胞においては遊走や浸潤・転移に重要な役割をことが示されている。我々は上皮性卵巣腫瘍におけるRho A, B, CのmRNAおよび蛋白発現を解析し、卵巣癌ではRhoAおよびRhoC発現が増強していることを見出した。そこで今回、卵巣癌細胞の播種性転移におけるRhoAの役割をさらに明らかにする目的で、RhoA強発現卵巣癌細胞を用いたin vitroおよびin vivo解析を行った。まず、SKOV3細胞にwild-type RhoAおよびcontrol vectorを遺伝子導入しRhoA強発現細胞樹立した。増殖能をコントロール細胞と比較したところ、変化は認められなかった。一方、in vitro浸潤能を比較すると、RhoA強発現細胞で有意に亢進していた。次に、RhoA強発現細胞およびcontrol細胞をヌードマウスの腹腔内に注入しin vivoでの播種性転移能を検討した。2か月後に開腹すると、播種性転移形成率は、control細胞では11匹中3匹27%に認められたのに対して、RhoA強発現細胞では12匹中9匹75%と有意に上昇していた。また、播種性転移病巣数も、control細胞に比べRhoA強発現細胞で有意に増加していた。以上の検討から、卵巣癌細胞の腹腔内播種性転移において、RhoAの発現亢進がきわめて重要な役割を果たしていると考えられRhoを分子標的とした新たな卵巣癌治療の開発が有用であると考えられた。
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Research Products
(5 results)