2005 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティクス研究からの絨毛細胞の分化メカニズムの解明
Project/Area Number |
16790952
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
峯川 亮子 大阪大学, 医学部附属病院, 助手 (10359838)
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Keywords | 絨毛細胞 / 分化 / RAI / NF-κB / Sp1 / GLUT1 / Rcho-1 |
Research Abstract |
NF-κBの主要サブユニットであるp65に対する阻害因子として新たに同定されたRelA-associated inhibitor(RAI)の、絨毛細胞の分化過程における発現の変動について、引き続き検討を行った。ラット絨毛癌細胞株Rcho-1細胞の分化に伴うRAI蛋白量の変動をウェスタンブロット法にて検討したところ、Rcho-1細胞の分化に伴いRAI蛋白量の増加を認めた。さらに、Rcho-1細胞にRAIのexpression vectorを強制発現させた場合、核蛋白におけるSp1蛋白発現量には変動が見られなかったが、免疫沈降法を用いた検討によりSp1と結合するRAIの増加が認められた。しかしながらmobility shift解析を用いた検討では、Sp1のGLUT1プロモーターへの結合に対するin vivoでのRAIの抑制効果は明らかではなかった。また、Rcho-1細胞にRAIのexpression vectorを強制発現させた場合では、コントロール(empty vector)と比較して巨細胞の有意な増加が認められた。以上より、RAIは絨毛細胞に存在し、Sp1を介して胎盤絨毛の機能的分化に寄与するのみならず、形態的分化の促進にも関与する可能性を示唆する結果を得た。次にNF-κB結合部位を有することが確認されているヒトIL-8プロモーター遺伝子を、RAIのexpression vectorと同時にヒト絨毛癌細胞株であるBeWo細胞へ遺伝子導入し、IL-1β添加によるプロモーター活性の変動をルシフェラーゼアッセイ法にて検討した結果、RAIの導入によるプロモーター活性低下が認められた。これにより、RAIが絨毛細胞においても他と同様にNF-κBの阻害因子として機能することが確認され、RAIが絨毛細胞における炎症制御にも関与する可能性が示唆された。
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