2004 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜症患者の腹水中に発現する新しい機能タンパク質のプロテオミクス解析
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16790965
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
石原 広章 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (00363979)
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Keywords | 子宮内膜症 / 腹水 / プロテオミクス / alpha_1-antitrypsin |
Research Abstract |
研究計画に沿い、患者の同意を得て採取した腹水と組織を研究対象とした。腹水は子宮内膜症患者と、不妊症で腹腔鏡検査を施行し、明らかな肉眼的異常のない患者で、組織は子宮内膜症患者から術中同時に得た、チョコレート嚢腫壁と正所性子宮内膜を用いて検討した。 腹水、組織とも試料を調整し、2次元電気泳動を行った。1次元目は等電点電気泳動(IEF)を行い、2次元目はSDS-PAGEによりタンパクを分離した。この結果、得られたゲル上のスポットをRuby染色により検出し、解析ソフトウエアを使用して、スポットの検出と数量化を行いゲル間の比較を行った。 ゲルを解析したところ、腹水および組織の両者で、子宮内膜症で特異的なスポット、あるいは子宮内膜症の有無により発現強度が異なるスポットを多数検出できた。さらに腹水でゲル上のスポットを比較検討したところ、子宮内膜症の有無によりスポットの並びに変化を認め、この一連のスポットはWestern blottingにてalpha_1-antitrypsinであることを確認した。このことはalpha_1-antitrypsinの量的質的変化を示しており、特にPIの違いが大きいためタンパクのリン酸化や糖鎖の変化が生じている可能性が高い。alpha_1-antitrypsinは生体内でプロテアーゼインヒビターとして働き、主として、好中球エラスターゼを阻害し組織障害の拡大を防ぐ。子宮内膜症でalpha_1-antitrypsinが質的量的に変化することで、疾患の発生、進行の過程で組織障害が防御できないなど炎症反応に関与している可能性が示唆された。 現在までに、疾患に特異的と考えられるタンパクを含む病態解明に有益なタンパク情報を検出することができた。今年度の結果をもとに、質量分析を進め、子宮内膜症の病態解明に重要なタンパクを検出できると考えている。
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Research Products
(2 results)