2004 Fiscal Year Annual Research Report
母体血漿中の胎児DNAを用いた妊娠中毒症の発症予知についての研究
Project/Area Number |
16790970
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
松岡 隆 昭和大学, 医学部, 助手 (20349111)
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Keywords | 母体血 / 胎児DNA / cell-free DNA / 発症予知 / 妊娠中毒症 |
Research Abstract |
母体血漿中の胎児由来DNA濃度が各種妊娠合併症により増加することも報告された。我々は妊娠中毒症の患者血漿中の胎児由来DNA量が正常例の3倍以上増加することを報告した(Am J Obstet Gynecol,2003)。また、母体血漿中胎児DNAの大部分は絨毛間腔で母体血に直接接する絨毛細胞の破壊に由来することも報告している(Hum Genet,2003)。中毒症では胎盤の形成過程でラセン動脈の血管内皮細胞が絨毛細胞に十分置換しないため絨毛間腔が慢性的にhypoxicな環境となり、絨毛細胞が傷害され、それが中毒症の病態形成の最初のステップであると考えられている。その絨毛障害を直接評価できるマーカーとして母体血漿中胎児DNA濃度は有望である。63例の妊娠中毒症患者の母体血漿中胎児DNA濃度と総DNA濃度を定量し、その結果をmultiple of median(MoM)値に変換し、中毒症の各臨床症状の重症度と比較した。その結果、(1)妊娠中毒症の主要症状である蛋白尿、高血圧はそれぞれ独立して胎児DNA濃度に関係しており、(2)それぞれの重症化に伴って胎児DNA濃度が上昇することが分かった。さらに、(3)蛋白尿の方がより強く胎児DNA濃度の上昇に関与していることが分かった。 次に、妊娠中期の臨床症状が出現する前の時期に将来妊娠中毒症になる症例の胎児DNA濃度、総DNA濃度について検討したところ、(4)将来妊娠中毒症になる症例は、胎児DNAが1.9倍、総DNAも1.9倍上昇していることが分かり、妊娠中毒症の発症予知マーカーになると考えられた。
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