2004 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠中毒症における絨毛傷害の証明とその機序の遺伝子学的解明
Project/Area Number |
16790971
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
市塚 清健 昭和大学, 医学部, 助手 (00338451)
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Keywords | マイクロアレイ / マイクロダイセクション / 妊娠中毒症 / 絨毛 / mRNA |
Research Abstract |
妊娠中毒症(中毒症)は全妊娠の5%程度に起こる妊娠合併症であり、胎児発育不全を高率に合併し、母体のみならず胎児・新生児にとっても重大なリスクを持つ疾患であるが、その病因・病態はいまだ十分に解明されていない。妊娠中毒症の病因については母児間の免疫応答異常が病態形成のfirst stepであると示唆されている(Kovats et al.,Science 1996)。それが絨毛細胞の脱落膜への十分な侵入を阻害し、また、ラセン動脈の血管壁への絨毛細胞の不十分な置換の結果、胎盤の血管抵抗が低下せず、絨毛間腔を満たす母体血流が十分に循環しない結果、絨毛細胞が慢性的に低酸素環境におかれると推察されている。その結果、絨毛細胞は各種炎症性サイトカインや血管増殖因子などを分泌すると同時に、その細胞の一部は傷害されると考えられる。このことから、妊娠中毒症の病態形成の主座は胎盤にあると考え、絨毛細胞のSyncytiotrophoblasts(S細胞),Cytotrophoblasts(C細胞),Extravillous trophoblasts(EVT)について個別に中毒症でどのような変化が起こっているかをmicroarray法を用いて評価した。細胞の回収は、Laser Microdissectionを用いて行った。細胞数が200前後あればmicroarrayが可能なことは確認できた。しかし、arrayの結果、中毒症群の中にも遺伝子発現に大きな違いがあることがわかり、臨床症状を統一して一定の条件を満たす重症型妊娠高血圧腎症を対象にした検討が必要な事がわかり、研究を継続中である。
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