2005 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜におけるMMP-26の発現とそのメカニズム解析
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16790973
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
西 洋孝 東京医科大学, 医学部, 講師 (60307345)
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Keywords | 子宮体癌 / MMP / estrogen / estrogen receptor |
Research Abstract |
癌においては種々のMatrix Metalloproteinases (MMPs)活性が亢進しているとされるが、特に近年同定されたMMP-26は子宮体癌の発生に関与するとされる。子宮体癌はエストロゲンの作用により発生すると考えられているため、エストロゲンがMMP-26発現にいかなる作用を及ぼすかを検討することとした。インフォームドコンセントを得て正常子宮内膜・子宮内膜増殖症・子宮体癌組織を採取し、realtime RT-PCR法やwestern blot法にてMMP-26 mRNA・タンパクの発現量を調べたところ、MMP-26の発現は増殖期内膜において亢進し、分泌期において低下していた。特に排卵期にはMMP-26の発現は高値を示した。子宮内膜増殖症におけるMMP-26は強発現であったが、癌においてはその発現はほぼ消失していた。コンピューター解析により、転写因子エストロゲンレセプター(ER)の結合領域(ERE)がMMP-26プロモーター上に存在することが判明したため、エストラディオール添加およびER強制発現によるMMP-26プロモーター活性の変化を、子宮内膜癌細胞株であるISHIKAWAや不死化子宮内膜細胞株E6/E7/TERTを用いルシフェラーゼアッセイをもって調べた。MMP-26プロモータールシフェラーゼコンストラクトをtransfectionしたこれら細胞に、エストラディオールを添加したりERを共発現させるとMMP-26のプロモーター活性が亢進した。また、realtime RT-PCR法やwestern blot法にて、これら細胞に対するエストラディオール添加が内因性のMMP-26発現をも亢進させることを見出した。ERとEREの結合能はchromatin immunoprecipitation assay (ChIP)を行い調べたが、ERがMMP-26プロモーター上のEREと結合することが判明した。MMP-26の発現が転写因子ERを介しエストロゲンに依存していることが明らかとなった。エストロゲンやMMP-26が子宮内膜増殖症の発生に深く関わることが示唆されたが、エストロゲンは、少なくともMMP-26を通じた子宮内膜の癌化に、直接的には関わらないのかもしれない。また、排卵期の正常子宮内膜におけるMMP-26の発現の亢進は、生殖能にMMP-26の発現が何らかの形で関与している可能性を示唆する。
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