2005 Fiscal Year Annual Research Report
RFLP法を用いたミトコンドリア遺伝子961delT変異解析とその臨床像
Project/Area Number |
16790982
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
南場 淳司 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (50361027)
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Keywords | ミトコンドリア遺伝子 / 961delT / 遺伝的多型 |
Research Abstract |
目的:ミトコンドリア遺伝子961delT変異を認めた難聴症例の報告があり、難聴の原因遺伝子として候補に挙がっている。今回の研究では、ミトコンドリア遺伝子961delT変異が難聴の原因と成り得るのかをRFLP(Restriction Fragment Length Polymorphism)法を用い検討する。 昨年度までに標的遺伝子の抽出と増幅、制限酵素の設定が終了した。本年度はRFLP法により得られた解析結果に対し、変異型症例のDNA鎖を直接シークエンス法にて961bp前後のDNA配列と変異点を確認した。これによりRFLP法の結果に再現性が認められ、今回の条件設定が妥当なものであることを確認した。 結果:コントロール96サンプル中の3.1%にミトコンドリア遺伝子961delT変異が認められ、難聴症例サンプルでは3.5%に変異が認められた。統計学的な有意差は認められず、ミトコンドリア961delT変異が遺伝的多型ではないかと考えられた。 次に変異の認められた症例の臨床データを解析し、ミトコンドリア遺伝子961delT変異によって生じる難聴の臨床像、特徴を検討した。 難聴群で変異の認められた症例の聴力像は水平型、高音漸傾型、高音急墜型と様々であり、他のミトコンドリア遺伝子変異に特徴的な高音急墜型だけではなかった。またコントロール群で変異の認められた症例はすべて聴力は正常であり、またその症例は若年層ではなかった。 以上の変異解析結果および得られた臨床データからは、ミトコンドリア961delT変異が難聴の原因遺伝子であるとはいえず、遺伝的多型であると考えられた。
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