2004 Fiscal Year Annual Research Report
癌治療におけるアポトーシスシグナル調節キナーゼ(ASK1)についての検討
Project/Area Number |
16790992
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
杉本 千鶴 福井大学, 医学部附属病院, 助手 (80283183)
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Keywords | ASK1 / AKT / 抗癌剤 / タキソール化合物 / アポトーシス |
Research Abstract |
頭頚部癌を含めて癌においては、セリン・スレオニンキナーゼであるAKT(プロテインキナーゼB)の活性化の経路にしばしば変化がみられることがある。われわれはApoptosis signal-regulating kinase 1(ASK1)を含めたAKTの下流に存在する蛋白質をコントロールすることについて検討してきた。その検討の過程で、抗癌剤で癌細胞を処理した後におこる細胞死を効果的に誘導するためには、ASK1の発現が必要であることを発見した。AKTによってASK1の83番目のアミノ酸であるセリン残基がリン酸化されると、アポトーシス細胞死誘導のためのASK1の活性化が抑制された。In vitroの系である種の細胞死においては、ASK1の活性化が抑制されたり、AKTによるASK1のリン酸化が増強すると、アポトーシス誘導がおこりにくくなると予想される。AKTによるアポトーシスの抑制は、一部はAKTによるASK1の抑制によるものであり、これはトポイソメラーゼII阻害剤、シスプラチン、タキソール化合物などの抗癌剤処理後にも認められる。タキソール化合物は近年頭頚部進行癌に用いられ、良好な成績をあげつつあるが、その作用機序の多くはまだ不明である。 AKTとASK1は細胞内で蛋白質複合体を形成していることが、免疫沈降法による実験によってわかっている。この両者の複合体は、AKTによるASK1のリン酸化および抑制の根本である。AKTおよびASK1の変異型を用いた免疫沈降法による検討によって、両者の相互作用に必要なアミン酸領域を同定した。癌細胞にAKTおよびASK1を発現させ、各種薬剤で処理し、AKTとASK1の相互作用に与える影響について検討した。
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