2004 Fiscal Year Annual Research Report
前庭・半規管の血流調節機構の検討-組織学的及び光学的手法を用いて
Project/Area Number |
16791011
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
角南 貴司子 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60315992)
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Keywords | 血流調節機構 / 共焦点レーザー顕微鏡 / NOS / 組織因子 / TFPI / 前庭 / 半規管 / 血管条 |
Research Abstract |
聴覚、平衡覚機能を維持するための内耳における血流調節機構に関与する因子の分布、および機能について成果を得た。前庭・半規管においては、これまで詳細な検討が困難であった卵形嚢、球形嚢、半規管膨大部の血管の3次元的構築をFITCで標識されたゼラチンを還流させた後、共焦点レーザー顕微鏡をもちいるという新たな手法によって観察することができた。以前われわれの研究で血管状、らせん靭帯を含む蝸牛側壁における一酸化窒素合成酵素(NOS)の分布について報告しており、今回は平衡感覚器である卵形嚢、球形嚢、半規管膨大部におけるNOSの分布が感覚上皮下の毛細血管網の血管上皮細胞に一致して分布していることが確認された。またその血管周皮細胞においてトロポミオシンの分布を示し、血管内皮細胞NOSによって合成されたNOが血管周皮細胞に作用し血管の緊張に関与する可能性を指摘した。 蝸牛においては、内耳代謝機能に重要な血管条を中心に検討を行い、外因系凝固反応の開始因子である組織因子(tissue factor, TF)が血管状細胞に分布していることを示した。また外因系凝固経路を阻害するtissue factor pathway inhibitor (TFPI)が血管条毛細血管内皮細胞に分布することを示し、TFPIが網状毛細血管構造をもつ血管条血管内の凝固の誘発を阻害することで血流維持に作用している可能性を指摘した。またエンドトキシンであるLipopolysaccalide (LPS)の内耳への負荷によってTFの発現が増加し、TFPIの発現は抑制が観察され、これらの因子の発現の変化がエンドトキシンによる内耳障害に関与している可能性を指摘した。
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