2004 Fiscal Year Annual Research Report
In site tissue engineeringによる中耳の再生-人工中耳粘膜の開発と臨床応用-
Project/Area Number |
16791022
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
谷口 雄一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30307475)
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Keywords | 人工中耳粘膜 / 中耳粘膜再生 / 粘膜移植 |
Research Abstract |
Objective:中耳真珠腫や癒着性中耳炎術後の露出した骨面上に早期に粘膜が再生されれば、術後鼓膜の再癒着や再形成性真珠腫の予防が可能と考えられる。そこで今回、人工中耳粘膜を作製、移植することにより中耳腔粘膜を早期に再生させ、含気化を確保することを目的とした研究を試みた。 Methods: Rabbitの中耳骨胞より中耳粘膜を採取し、上皮細胞及び線維芽細胞の分離培養を行った。air liquid interface法により培養した細胞から人工中耳粘膜を作製した。中耳骨胞の粘膜を可及的に除去した粘膜障害モデルを作製し、その部位に人工中耳粘膜を移植した。対照として正常コントロール群、粘膜除去のみ行った群、collagen spongeを移植した群と比較検討した。移植8週後の中耳骨胞における骨増生、粘膜肥厚、繊維化などについて組織学的検討を行った。さらに粘膜のガス交換能の指標となる中耳腔全圧最大値を測定し、機能としての評価も同時に行った。 Results:作製した人工中耳粘膜は形態的に生体における中耳粘膜に近似し、線毛の存在も確認された。人工中耳粘膜を移植した群ではcollagen spongeを移植した群に比較して骨増生、肉芽増生が少なく粘膜再生が良好であった。移植後の機能的評価においても人工粘膜移植群では良好な結果が得られた。 Conclusion:人工中耳粘膜の移植により、粘膜再生が促進され組織学的、機能的にも良好な結果が得られた。このこと中耳粘膜を再生させる移植材料として、人工中耳粘膜は有用であると考えられた。中耳手術後の新たな治療法として今後の臨床応用が期待される。
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