2006 Fiscal Year Annual Research Report
In site tissue engineeringによる中耳の再生
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16791022
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
谷口 雄一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30307475)
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Keywords | 中耳粘膜シート / 温度応答性培養皿 / 中耳真珠腫 / 粘膜再生 / 移植 / 癒着性中耳炎 |
Research Abstract |
真珠腫や癒着性中耳炎の術後では鼓膜の再癒着や陥凹を防ぐために、術後早期に粘膜が上皮化されることが重要である。そこで人工中耳粘膜の移植により粘膜を早期に再生させ含気化を確保する実験を行った。家兎の中耳粘膜上皮細胞および繊維芽細胞を分離培養し、三次元人工中耳粘膜を作成し移植を行い、植部位での粘膜再生は組織学的・機能的に良好な結果が得られた(16〜17年度)。さらに臨床応用に向けてさらに薄く、接着性の高い中耳粘膜シート作製について検討した。対象動物として、成熟白色家兎を用い、静脈麻酔下に顕微鏡下に鼓膜下端から耳管鼓室口までの内腔の粘膜を採取した。採取した中耳粘膜の初代培養はExplant Culture法にて行い、約1週間培養したのち継代しコラーゲンコートした温度応答性培養皿に細胞を播種した。その後約2週間培養した後に低温処理(20℃)により移植可能な細胞シートとして回収した。温度応答性高分子であるIPAMをグラフトした温度応答性培養皿を用いて過去に例のない中耳粘膜細胞シート作製に成功した。次の段階として作製した中耳細胞シートの移植実験を行った。まず家兎の中耳骨胞より粘膜を採取して中耳粘膜シートを作製した後、約3週間後に同一家兎の対側中耳骨胞に移植を行った。移植する部位の粘膜は可及的に除去し、人工的に粘膜創傷モデルを作製し移植後の組織学的所見を検討した。移植後約8週間に連続切片を作製し、顕微鏡下に組織所見を評価した。粘膜シート移植群では、粘膜除去群に比較して骨増生、粘膜肥厚ともに軽度であり中耳骨胞の含気化も保たれていた。従来、中耳術後に粘膜が欠損すると骨増生、肉芽増生が多くの場合生じるが、移植した粘膜シートが生着することによりそれらを抑制したものと考えられた。これらの結果より、今後は中耳術後の粘膜欠損部位に粘膜シート移植を臨床応用し、有用な結果が期待される(17〜18年度)。
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Research Products
(1 results)