2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16791023
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
吉川 衛 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50277092)
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Keywords | 慢性副鼻腔炎 / 自然免疫 / toll-like receptor / cDNAマイクロアレイ / インターフェロン誘導性遺伝子 |
Research Abstract |
慢性副鼻腔炎の治療において少なからず予後不良例が存在しており、特に気管支喘息やアスピリン喘息などの下気道病変を伴う症例がその中に多く含まれている。そこで、予後不良例の臨床経過において病態の増悪期に感冒様の症状を伴うことが多くみられる点に着目し、微生物などの病原体特有の分子パターン(Pathogen-associated Molecular Patterrs; PAMPs)を認識した後の自然免疫系の反応性の違いが慢性副鼻腔炎の予後に関与する可能性を考えた。自然免疫系のなかでも中心的な役割を果たしている分子群と考えられているtoll-like receptor (TLR)は、現在までにヒトでは10種類報告されており、それぞれのTLRは固有のPAMPsを認識してTLR発現細胞に活性化のシグナルを伝える。 平成16年度においては、その中でもRNAウィルスに含まれる二本鎖RNAを認識するTLR3に着目し、慢性副鼻腔炎患者を(1)気管支喘息非合併例、(2)気管支喘息合併例、(3)アスピリン喘息合併例に分類したのち、手術時に採取し培養した鼻組織由来の線維芽細胞を二本鎖RNAであるpoly(I : C)で刺激を行った。さらに、それらの線維芽細胞からmRNAを抽出したのち、発現する遺伝子群をcDNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析し、(1)(2)(3)の病態間での比較検討を行った。その結果、病態間で有意な差のある発現遺伝子を多数認めたが、その中でも(3)アスピリン喘息合併例において、IP-10、I-TAC、OAS3などのインターフェロン誘導性遺伝子の発現が低下していた。現在症例数を増やしReal-time PCRにて再現性を確認中である。すなわちアスピリン喘息合併例の鼻組織由来線維芽細胞においては、Th1反応等の免疫調節作用や抗ウィルス作用が低下している可能性が示唆された。
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