2004 Fiscal Year Annual Research Report
前庭自律神経反射(前庭呼吸反射)に関与する、脳幹内中枢神経核の出入力経路の検討
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16791025
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
新谷 敏晴 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (20329288)
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Keywords | 前庭呼吸反射 / Pseudorabies Virus / transneuronal tracing / 上気道筋 / 睡眠時無呼吸症候群 |
Research Abstract |
これまでの形態学的研究では、内側延髄網様体(MRF)内ニューロンが横隔膜、腹直筋などの呼吸筋に投射し、またこの網様体は前庭から多くのニューロンを受けていることがわかっている。つまりこの網様体・脊髄ニューロンが前庭呼吸反射に強く関与するものと考えられている。その上で、シロイタチのMRFにlidocaineを注入して機能的障害を作成し、横隔膜や腹直筋などの活動電位の変化を調べた。このMRFの不活化により各種呼吸筋活動電位のbase-lineが上昇し、これらニューロンが通常、抑制的に働いている事が示唆された。またこの前庭呼吸反射は、横隔膜などの呼吸筋以外にも、上気道筋もコントロールしていると言われている。その中でも舌を前方へ突き出す働きを持つオトガイ舌筋の上位中枢もMRFにあるとされている。しかしこの呼吸筋と上気道筋の関連についてはこれまで殆ど報告されておらず、シナプスを越えて逆行性に投射する特性を持つ、遺伝子操作されたPseudorabies Virus(PRV)をシロイタチの横隔膜、オトガイ舌筋に同時に打ち込み、両者の上位運動ニューロンの脳幹内分布及び投射ニューロンの分枝の有無について検討しこれを報告した。特に近年では睡眠時無呼吸症候群の要因として舌根沈下が知られてきており、この反射経路の障害によって無呼吸が惹起される可能性がある。今後はこのオトガイ舌筋に加え、同じ上気道筋として分類される後輪状披裂筋(声帯を開大させ上気道の開通性を高める)についても前庭からの入力に影響を受けるかどうかを検討する予定である。平成17年2月現在、まだアメリカ・ピッツバーグ大学からのPRVの輸入が完了しておらず、予備実験として順行性、逆行性に投射する特性を持つWGA-HRPの、後輪状披裂筋への注入を試みている。
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