2004 Fiscal Year Annual Research Report
前庭有毛細胞導入による蝸牛障害の再生医学的アプローチ
Project/Area Number |
16791027
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
谷川 徹 愛知医科大学, 医学部, 助手 (10367758)
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Keywords | Phalloidin / 蝸牛単離有毛細胞 / 前庭単離有毛細胞 / マーカー / フリーラジカル / 形態変化(細胞障害) / 長期生存 / ATP |
Research Abstract |
1)内耳有毛細胞のマーカーに関する検討 従来、内耳有毛細胞のマーカーとしてPhalloidinが使用されてきた。しかし、単離した細胞で、前庭と蝸牛を同時に検討した報告は現在までなされていない。凍結したエタノールで固定すると、モルモットの前庭では細胞全体(細胞質、クチクラプレート、感覚毛)が染色された。一方、蝸牛有毛細胞ではクチクラプレートのみが染色された。以上の染色性の違いからモルモットでは導入した細胞が前庭由来かどうか判断可能であることが明らかになった。 次に、マウスではsurface preparationで検討を行った。マウスでは前庭、蝸牛とも細胞全体が染色されていた。したがって、マウスを使用する際には固定方法を変更する必要があると思われた。 2)過酸化水素(フリーラジカル)投与による蝸牛単離有毛細胞の形態変化 蝸牛障害を起こす物質として過酸化水素を用い、単離した蝸牛有毛細胞の形態変化をリアルタイムに観察した。その結果、約88%の細胞で細胞障害によると思われる形態変化を認めた。障害のメカニズムとしてはフリーラジカルの関与を考えており、現在さらに検討を加えている。 3)前庭有毛細胞の長期生存に関する検討 モルモット卵形嚢を摘出後、次の3群((1)人工外リンパ液、(2)ゲンタマイシン、(3)ゲンタマイシン+ATP)に分け2日間器官培養した。その後、電子顕微鏡で超微細構造を観察した。その結果、ATPには細胞障害を軽減させる作用があることが明らかになった。ATP自体は現在、臨床で汎用されており、臨床応用も可能であると考えている。
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