2004 Fiscal Year Annual Research Report
PRPF31遺伝子異常による常染色体優性網膜色素変性の不完全浸透に関する研究
Project/Area Number |
16791040
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 肇 東北大学, 病院, 助手 (10312571)
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Keywords | 網膜色素変性 / 無症候性キャリア / 半定量PCR / wild-type allle |
Research Abstract |
PRPF31遺伝子に1142delG変異を認めた家系(網膜色素変性6人、無症候性キャリア1人、正常1人)と正常5人の末梢血からtotal RNAを調整し、d(T)18プライマーを用いてcDNAを合成した。まず、ゲノムに1142delG変異を有する網膜色素変性患者と無症候性キャリアで、末梢血にmutant alleleの発現があるか調べたところ、その発現はほとんど認められなかった。次にwild-type alleleの発現量を調べるために50ngのcDNAを鋳型にSmart Cycler【○!R】 System(Cepheld社)にてSYBR【○!R】Green I(TaKaRa)を用いたインターカレーター法による半定量PCRを施行した。内部コントロールにG3PDHを用いた。G3PDH mRNAコピー数に対するPRPF31 mRNAコピー数の比率(x10^<-2>)は、網膜色素変性患者6人で、1.32,1.17,1.36,1.89,1.09,1.81(平均1.44、95%信頼区間1.09-1.79)、無症候性キャリア1人は、1.92、正常者6人では、2.67,4,08,4.78,2.60,2.45,3.93(平均3.42、95%信頼区間2.40-4.44)であった。網膜色素変性患者と正常者の間には統計学的有意(Mann-Whitney test, P<0.01)を認めた。mutant alleleの発現がほとんどないことから異常な蛋白は産生されず、また、wild-type alleleの発現量が低下することで網膜色素変性が生じると考えられる。無症候性キャリアでは、正常者と比べwild-type alleleの発現量は低下しているが、網膜色素変性患者よりも発現量が多いので網膜色素変性に至らないことが示唆された。
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