2004 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白糖化最終産物受容体をターゲットとした糖尿病網膜症の発症メカニズムの解明
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16791042
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加治 優一 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50361332)
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Keywords | 蛋白糖化最終産物 / 糖尿病網膜症 / AGE受容体 / アミノグアニジン / 酸化ストレス / アポトーシス |
Research Abstract |
1.実験的糖尿病網膜症の評価系として,網膜血管の透過性,網膜血管への白血球粘着,NF-κB活性化,網膜VEGF濃度の4種類を選び,それぞれに対してマウスにも適応可能な評価実験系を確立した.具体的には,エバンスブルーを全身投与した後に網膜の血管外に漏出した量を定量することによって,網膜血管の透過性の指標とした.また,リン酸緩衝生理食塩水を灌流後に白血球を標識するフルオレセイン標識コンカナバリンAを灌流することで,血管内皮に粘着している白血球の数と局在を明らかにすることができるようになった.また,放射性同位元素を用いることなくNF-κBの活性を調べるELISA系を確立した.VEGF濃度の測定については市販のELISAキットを用いた. 2.ストレプトゾシンを腹腔内投与することによって3ヶ月にわたって高血糖を誘導した後には,コントロールのマウスと比較して網膜血管の透過性は約2倍,網膜血管への白血球粘着は2.5倍,NF-κBの活性は約2倍,VEGF濃度は2倍に増大していた. 3.糖尿病網膜症の発症に関わると言われるRAGE (receptor for AGE)の細胞ガイドメインのみのcDNAを作成し,バキュロウイルスに導入することでベクターを作成した.このウイルスベクターを昆虫細胞Sf9に感染させることによって,糖鎖の修飾を持った可溶化RAGEを作成することに成功した. 4.ヒト臍帯血管内皮細胞を培養し,AGEを上清中に添加すると,内皮細胞における接着分子の発現が亢進することを明らかにした.またAGEと同時に可溶化RAGEを添加することによって,血管内皮における接着分子の発現の亢進は抑制された.すなわち,可溶化RAGEは,AGEとAGE受容体の相互作用を阻害することを明らかにすることができた.
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