2006 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックマウスと培養網膜神経節細胞を用いた視神経障害機序研究
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16791044
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
間渕 文彦 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 助手 (20322125)
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Keywords | 緑内障 / 網膜神経節細胞 / マウス / Thy 1 / GFP / コラーゲン / neurofilament |
Research Abstract |
これまで報告のなかったマウス網膜神経節細胞(RGC)の単離培養を、2 step panning法をもとに試み可能とした。この培養系を用い、RGCの特異的蛋白であるThy1蛋白遺伝子にgreen fluorescent protein (GFP)遺伝子をtransgenicさせることにより青色光にてRGCが自発蛍光するトランスジェニックマウス(RGC蛍光蛋白発現マウス)の遺伝子変異型RGCが、野生型RGCと同等の細胞形態、細胞活性を有するかを検討した。単離培養された遺伝子変異型RGCは、樹状突起の形成が不良であり、野生型RGCと比べ形態的に異なる傾向が認められたが、自然経過または遠心による圧力など負荷をかけた際のRGCの細胞活性(生存率)を比較したところ、遺伝子変異型RGCと野生型RGCの間に明らかな違いはみられなかった。さらに、このマウスを用いて視神経crushモデルを作成し、網膜のwhole mountスライドにてRGC障害を評価したところ、RGC障害が経時的に進行すること、RGC減少が網膜周辺より中心部位でより著明なことを確認した。個々のRGCにおいては、細胞体の不整、縮小や低蛍光、樹状突起の先細り、消失や途絶が観察され、視神経crushモデルにおいても、緑内障と同様なRGCの形態変化を呈した。matrix metalloproteinase 1によりコラーゲン1が代謝されないためコラーゲン1が生体内に蓄積し、眼圧上昇、RGC障害のみられるトランスジェニックマウス(コラーゲンタイプ1代謝異常マウス)においては、視神経におけるコラーゲン1の蓄積、neurofilamentの脱リン酸化の程度を検討したところ、視神経におけるコラーゲン1の発現に明らかな差は認められなかったが、野生型マウスよりもホモ遺伝子変異マウスにおいて、neurofilamentの脱リン酸化が認められる可能性が示唆された。また、apolipoprotein E (APOE)は、緑内障発症への関与を示唆する報告があり、RGC生存に重要な役割を果たしている可能性があるが、APOEのノックアウトマウスを入手できたので、APOEとRGC減少との関連について検討するため繁殖実験を行った。
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