2004 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロアレイを用いた新規網膜血管新生関連遺伝子の同定
Project/Area Number |
16791051
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 茂生 九州大学, 大学病院, 助手 (50363370)
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Keywords | DNAマイクロアレイ / 網膜 |
Research Abstract |
予備実験として、高濃度酸素暴露後様々な時期(病的新生血管が生じている時期(生後17日)、病的新生血管が退縮し、正常な血管の形成が生じている時期(生後22日))の酸素負荷網膜症マウスの網膜と対照マウス由来の網膜RNAを抽出し、Affymetrix GeneChip(MGU74Av2)にハイブリダイズし、比較検討したところ、クリスタリンなどの、血管関連というより、神経網膜の発生、機能維持に関与する遺伝子に発現レベルの差があることがわかった。このため、神経網膜の発生の分子機序について把握することが必要と考え、以下の実験を行った。 桿体特異的Neural retina leucine zipper(Nrl)蛋白は桿体の分化に重要で、Nrl欠損マウス(以下Nrl^<-/->)ではすべての桿体の錐体への形質転換がおこる。今回、Nrlによって発現が制御される標的遺伝子群を把握するため、網膜発達段階でのNrl^<-/->の遺伝子発現プロファイリングを行った。生後2日、10日、2ヶ月のNrl^<-/->およびワイルドタイプコントロールマウス(以下WT)の網膜よりRNAを抽出し、ビオチンで標識したcRNAターゲットを合成し、Affymetrix GeneChip(MGU74Av2)にハイブリダイズした。スキャン画像を定量後、各グループ間で発現レベルの異なる遺伝子群を抽出した。さらに時系列の階層的クラスタリングにより抽出分子群を分類した。Nrl^<-/->とWT網膜間で161の遺伝子が有意な発現レベルの差を認めた。抽出遺伝子群は、光トランスダクション、シグナル伝達、転写制御、細胞内物質輸送などの機能単位に分類できた。このうち41遺伝子はヒト染色体上の網膜疾患の連鎖領域に存在した。抽出遺伝子群は、錐体と桿体の差異あるいは桿体の欠失による網膜の再構成を反映しており、その一部はヒト網膜疾患の候補遺伝子となりうると考えた。本研究により、視細胞の分化に伴う制御機構の一部が明らかになった。
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