2004 Fiscal Year Annual Research Report
Gefarnateの結膜におけるムチン分泌促進作用のドライアイモデルでの評価
Project/Area Number |
16791070
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
土至田 宏 順天堂大学, 医学部, 講師 (00306961)
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Keywords | ドライアイ / 結膜 / ムチン / Gefarnate / 動物モデル / 杯細胞 |
Research Abstract |
胃粘膜保護剤gefarnate(geranyl farnesyl acetate)は、胃粘膜上皮の杯細胞からのムチン産生作用により防御因子増強型潰瘍治療薬として既に市販されている。杯細胞は眼の結膜上皮にも多数存在しているが、眼での結膜上皮修復能やムチン産生能の機序解明は行われていなかった。本研究では、gefarnateの結膜杯細胞におけるムチン分泌促進の作用機序を解明する事を目的としているが、まずは数種類のドライアイモデル動物が安定して作成できるか否かの判定を行った。 ドライアイモデルの候補には、1.副交感神経除神経モデル、2.涙腺除去モデル、3.コンタクトレンズ(CL)モデルの3モデルとした。いずれも片眼のみ実験的に使用し、もう片眼は正常対照として使用した。1の副交感神経除神経モデルは、涙腺を支配する大錐体神経を脳から出た直後で切断するため、顕微鏡下での難手術となり、脳挫傷や感染症などの合併症で安定した供給が難しく、今回は保留とした。2の涙腺除去モデルは、涙液量が思っていたほど減少しなかったが、角膜上皮障害を出現し、ドライアイを来たすと判断されたため採用した。3のCLモデルは、レンズの眼からの脱落が相次ぎ、既製品を使用しての実験が困難と思われたため、CLメーカーに家兎用CLの製作を依頼している。 上記の涙腺除去モデルを用いて、下眼瞼結膜のアルカリ外傷を作成しgefarnateによる創傷治癒効果を細隙灯顕微鏡的観察、結膜インプレッションサイトロジーにて判定を行ったところ、3週目で基剤点眼群に比べて有意な改善を認めた。このことから、gefarnate点眼はドライアイモデル家兎においてもアルカリ外傷後の結膜杯細胞増殖促進効果があると考えられ、新たな眼表面保護剤として臨床応用できる可能性が示唆された。
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