2004 Fiscal Year Annual Research Report
重症アレルギー性結膜炎における巨大乳頭形成のメカニズムの検討
Project/Area Number |
16791072
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
高野 洋之 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (10276339)
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Keywords | アレルギー性結膜炎 / 乳頭増殖 / 線維芽細胞 / マスト細胞 / tryptase |
Research Abstract |
【目的】重症アレルギー性結膜炎では、好酸球、マスト細胞、リンパ球などの炎症細胞が結膜下組織に多数浸潤する。また、結膜実質細胞が増殖、活性化され、炎症細胞の遊走因子、活性化因子を分泌したり、コラーゲンなどの細胞外基質を分泌したりして、結膜乳頭が形成されると考えられる。本研究の目的は、重症アレルギー性結膜炎における結膜巨大乳頭形成のメカニズムを探求することにより、アレルギー性結膜炎の増悪の機序を知ることである。この目的を遂行するための実験の一部として、アレルギー状態で出現する代表的な炎症細胞の一つであるマスト細胞の分泌顆粒に含まれるhistamineとtryptaseと結膜実質細胞の相互の関わりについて検討した。 【方法】アレルギー疾患のない患者から採取した結膜実質細胞の増殖能について、WST assayを用いて検討を行った。培養結膜実質細胞をhistamine, tryptaseで刺激し、48時間後の細胞の細胞数を測定し、増殖率を算出した。また、tryptaseのinhibitorであるleupeptin、benzamidineを同時に添加し、増殖抑制に関する検討も行った。 【結果】Tryptaseは、結膜fibroblastsの増殖を濃度依存性に有意に増加させた。histamineでは統計的有意差はみられなかった。また、tryptaseのinhibitorであるleupeptin、benzamidineを添加することにより、増殖は70〜100%抑制された。 【結論】マスト細胞の分泌顆粒に含まれるtryptaseによる結膜実質細胞の増殖を亢進作用が明らかとなった。結膜実質細胞はコラーゲンや炎症細胞の走化性因子を分泌するので、tryptaseによる結膜実質細胞の増殖は結膜の炎症と細胞外基質の産生を増加させ結膜アレルギーの重症化に寄与している可能性がある。
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