2004 Fiscal Year Annual Research Report
Ocular surface疾患の予後を予測できるプロテインチップの開発
Project/Area Number |
16791076
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
小泉 範子 同志社大学, 研究開発推進機構, 助教授 (20373087)
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Keywords | 眼科 / 重症眼表面疾患 / 炎症性サイトカイン / 蛋白解析 / 薬剤耐性菌 |
Research Abstract |
1.重症眼表面炎症性疾患患者における涙液中インターロイキン8の検出と定量 重症眼表面炎症性疾患患者(Stevens-Johnson症候群、眼類天疱瘡、化学外傷)、眼表面疾患のない眼科患者(白内障患者など)、および健常人ボランティアからマイクロキャピラリーを用いて1-数μlの涙液を採取し、プロテインチップを用いてインターロイキン8(IL-8)濃度を測定した。Stevens-Johnson症候群、化学外傷の急性期には、眼表面疾患のない眼科患者および健常人ボランティアと比較して高濃度のIL-8が検出された。また、眼表面再建術後にはStevens-Johnson症候群および眼類天疱瘡で高濃度のIL-8の発現を認めたが、これらのIL-8は炎症の軽減とともに経時的に減少した。これらの結果より、患者涙液中に存在する高濃度のIL-8は、眼表面炎症性疾患の病態形成に関わっている可能性が高いと考えられた。 2.重症眼表面炎症疾患患者における薬剤耐性菌の検討 眼表面炎症が遷延状態にあるStevens-Johnson症候群、眼類天疱瘡患者9人より、両眼結膜嚢ならびに鼻腔前庭擦過検体をあわせて32検体採取し、細菌を分離・培養した。ブドウ球菌が検出された場合には。薬剤感受性試験、遺伝子型、エンテロトキシン型分析による型分類を行った。その結果、7人の患者から採取した24検体から薬剤耐性ブドウ球菌(MRSA, MR-CNS)が検出された。また薬剤感受性検査およびエンテロトキシン型分類の結果からは、眼科患者に特徴的なMRSAが存在する可能性が考えられた。Stevens-Johnson症候群や眼類天疱瘡などの重症眼表面炎症性疾患では、高率に結膜嚢や鼻腔前庭に薬剤耐性を獲得した常在細菌が存在することが明らかとなり、眼表面炎症と深く関わっていることが示唆された。
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