2004 Fiscal Year Annual Research Report
顎顔面および手足の先天性形態異常疾患における発症機序の解明
Project/Area Number |
16791093
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
酒井 直彦 北里大学, 医学部, 講師 (10265639)
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Keywords | ホメオボックス遺伝子 / HOXD13 / 重複母指症 / 多合指症 / 遺伝子異常 |
Research Abstract |
脊椎動物のホメオボックス(HOX)遺伝子は,形態形成において時期および部位特異的に発現をすることから,形態形成を制御する転写制御因子群をコードする遺伝子群であると考えられている。なかでもHOXA9〜13およびHOXD9〜13遺伝子は四肢の形態形成に重要な役割を担うとされる。近年,多合指症の家系例においてHOXDの13の遺伝子異常が,またhand-foot-genital症候群ではHOXA13の遺伝子異常が報告され注目されている。今回の研究(中間報告)では手指先天性形態異常疾患患者におけるHOXDの13遺伝子の解析を行い疾患発症に関連性を有する可能性を見いだした。 方法:対象は手指の形態異常を有する症例で,重複母指症41例,合指症6例,Apert症候群6例,多合指症2例,裂手症1例,裂手裂足症1例の計57例である。対照として健常者53例についても同様の解析を行った。 インフォームドコンセントを得た後に静脈血中の白血球よりDNAを抽出した。HOXD13の解析は,翻訳領域の全長を含んで5'-UTR側3bp,イントロン部および3'-UTR側352bpについても解析した。PCR法により目的とする遺伝子部分を増幅した後,ダイ・ターミネーター法を用いたダイレクトシークエンスによって塩基配列を解析した。 結果:疾患群および健常者群にエクソン1のアラニン連続領域とイントロン部のCA繰り返しDNA塩基配列部位に遺伝子多型を検出したが両群の頻度に差は認めなかった。重複母指症例ではアラニン連続領域に繰り返し配列の短縮が2例、エクソン1のミスセンス変異が3例で、また5'-UTR部に1塩基置換を認めた。ホメオボックス遺伝子のうち特にHOXD13とHOXA13とは相互作用をしながら手指の形態形成に強く関与するとされている。今回の研究で遺伝子異常を認めた重複母指症例では,その発症にHOXD13遺伝子の遺伝子異常が強く関連している可能性が示唆された。
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