2005 Fiscal Year Annual Research Report
顎顔面および手足の先天性形態異常疾患における発症機序の解明
Project/Area Number |
16791093
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
酒井 直彦 北里大学, 医学部, 講師 (10265639)
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Keywords | ホメオボックス遺伝子 / 遺伝子異常 / 口唇口蓋裂 / 重複母指症 / 多合指症 / HOXD13 / MSX1 / DLX2 |
Research Abstract |
目的:ホメオボックス(HOX)遺伝子は,形態形成において時期および部位特異的に発現をすることから,形態形成を制御する転写制御因子群をコードする遺伝子群であると考えられている。なかでもHOXA9〜13およびHOXD9〜13遺伝子は四肢の形態形成に重要な役割を担う。またMSX1、DLX1、DLX2は胎生期に口唇、口蓋領域の原基となる上顎突起において細胞増殖・分化をコントロールする転写調節因子として作用する。本研究では先天性形態異常疾患におけるHOX遺伝子の解析を行い、疾患発症との関連性について検討した。 対象:患者-対照研究法を用いた。手足疾患群は重複母指症41例,多合趾症33例、合趾症12例、合指症6例,Apert症候群6例,多趾症3例、多合指症2例,裂手症1例,裂手裂足症1例,その他4例の計109症例であった。また口唇口蓋裂疾患群は口唇裂55例、口唇口蓋裂59例、口蓋裂28例であった。対照群は健常者53〜109例である。 結果:手指疾患群では重複母指症例でアラニン連続領域に繰り返し配列の短縮が2例、エクソン1のミスセンス変異が3例で、また5'-UTR部1塩基置換を認めた。足趾疾患群では多合趾症でエクソン1のミスセンス変異が1例、ポリアラニン領域の12塩基欠失が1例、4塩基挿入が1例、1塩基欠失が1例および5'-UTR部で10塩基欠失が1例認められた。多合趾症でミスセンス変異が1例に認められた。また、MSX1では3'UTR*71C>Tにおいて左側口唇口蓋裂との関連が示唆された(P=0.035)。また同SNPは他のMSX1遺伝子上の多型と強い連鎖不平衡を示していた。DLX1ではアミノ酸翻訳領域に多型は認められなかった。DLX2ではexon1に存在するAGC triplet repeatにおいてrepeat7 alleleと完全口唇口蓋裂との関連が示唆された(P=0.0093)。また同triplet repeatにおいてもDLX2上の他の多型と強い連鎖不平衡を示していた。本研究で、手足疾患群の発症にHOXD13の遺伝子異常が関連している可能性が示唆された。口唇口蓋裂群でもMSX1およびDLX2遺伝子またはその近傍の遺伝子が疾患発症の感受性遺伝子である可能性が示唆された。
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